常住坐臥

ブログを始めて10年。
老いと向き合って、皆さまと楽しむ記事を
書き続けます。タイトルも晴耕雨読改め常住坐臥。

鶴間池

2020年10月18日 | 登山
紅葉した鳥海山の初冠雪。朝の一瞬だけ、その全貌を見せた。息をのむ美しさだ。土曜日の曇り、小雨の日を避けて、この日を選んだかいがあった。しかし、その後は鳥海山に雲がかかり、終日その姿を見ることはできなかった。しかし、今日の主目的は鳥海山の南斜面、標高820mに位置する鶴間池の紅葉である。この池は、鳥海山の火山活動のなか側火山の火口湖である。勾玉形の池で南北250m、最大幅130、最大深度3.9m。北側の沢水が流入し、南西に流出して渓流となって流れる。春の深緑、また秋の紅葉は明媚でカメラマンの撮影ポイントとなっている。この季節は、紅葉を求める人たちの人気が高い。

6時に天童の道の駅を出発、登山口には8時15分に着く。看板に鶴間池までの歩行は60分とある。すでに登山口の道路わきに、縦列で10台ほどが停められており人気の高さが分かる。ここは既に2度ほど訪れているが、登山道はしっかりと手入れされている。だが、池への下り道が意外と急勾配で、やや難儀して下った。
沢筋から平坦な地形に出ると、ブナの純林がさらに広がっている。黄葉が始まったブナ林の美しさに、仲間の歓声があがる。鳥海山の800m付近まで来なけれなかなか目にすることのできない光景だ。何故これほどブナがこの山中で勢力を張ることができるのか。それはひとえに、肥沃で適度な湿気をもった土壌ゆえである。水はけのよい尾根筋では、クロベやマツ、アスナロなど樹種でなければ生きられない。針葉樹であるがゆえに、乾燥に強いことが必要になる。幸田文は広葉樹林の春の新緑から、秋の紅葉を衣替えと言った。花嫁であればお色直しというべきか。いままさに、その衣替えを目の当たりにした。

やがて沢に水音が響いて来た。鶴間池が近いことを知らせている。東から池に流入してきた沢水が出口から勢いよく流出している。三角の屋根が見え、避難小屋が現れる。視界が開けると、周囲を紅葉に彩られた鶴間池が姿を現す。「おう~きれい!」期せずして異口同音の言葉で、光景への賛嘆が聞かれる。とりもなおさず、カメラを出して撮影。すでに、三脚を立てた人たちが思い、思いの構図で撮影に余念がない。登山口から1時間10分。本日の参加者8名、内男性2名。

山の池になほみづく木や初黄葉 木津 柳芽
鶴間池を降って鳥海家族村近くに鳳来山(858m)がある。鳥海山への登山コースにもなっている。Mさんの提案で、この日の二つ目の山登り。麓で昼食のあと周遊コースを歩く。こちらの紅葉も始まって、次週の週末には最盛期を迎えるという情報だ。今年は、紅葉が遅くなっている。鳥海家族村の登山口から登り始めたのが、12時。比較的急な登山道を登って約1時間、頂上に着く。人はほとんどいない静かな山中だ。紅葉が始まって、秋の雰囲気が満喫できる。見晴らしのきく地点は少ないが、庄内平野の向こうに日本海が広がっているのも見えた。一行は、初めて登る鳳来山に大満足である。下りはなだらかな勾配を時間をかけて下る。湯の台口に出たのは2時。ここから、車を取りに15分ほどの道のりを歩く。前回までの大きな山から一転して、鳥海山麓の好スポットで、秋山の雰囲気を堪能した一日であった。
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