みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1422「月のうさぎ」

2023-10-09 17:39:35 | ブログ短編

 ある日の、月がきれいな夜のこと。彼女は会社(かいしゃ)からの帰宅途中(きたくとちゅう)で真(ま)っ白なうさぎに出会った。そのうさぎは、道路(どうろ)の端(はし)をピョンピョンてくてくと歩いていた。そして、なぜか彼女の方へ近づいて来る。彼女は思わず立ち止まった。なぜこんなところにうさぎが…。
 うさぎはどんどん近づいてくる。思ってたより、ずいぶん大きなうさぎだ。彼女は足がすくんでしまった。助(たす)けを呼(よ)ぶにも、あたりには誰(だれ)もいない。うさぎは彼女の前で止まって、彼女を見下(みお)ろした。うさぎは、彼女の背丈(せたけ)よりも高くなっていたのだ。
 うさぎは彼女に言った。「あなたは、かぐや姫(ひめ)ですか?」
 彼女は首(くび)を振(ふ)って違(ちが)うと答(こた)えた。でも、うさぎは聞く耳(みみ)を持たないようだ。彼女に向かって、「かぐや姫、そろそろ月へ戻(もど)ってください。お願(ねが)いします」
 うさぎは丁寧(ていねい)に言うと頭を下げた。彼女は、また違うと言ったのだが、うさぎはまったく無反応(むはんのう)だ。うさぎが彼女にふれると、彼女の服(ふく)が十二単(じゅうにひとえ)に替(か)わってしまった。彼女は、服の重(おも)さによろけそうになった。また、うさぎが言った。「お迎(むか)えの牛車(ぎっしゃ)が到着(とうちゃく)しました」
 彼女の目の前に、豪華絢爛(ごうかけんらん)な牛車が現れた。彼女は逃(に)げることもできかなった。いつの間にか、彼女は牛車に乗(の)り込んでいた。彼女の隣(となり)には小さくなったうさぎが…。
 彼女はため息(いき)をついて言った。「なんでよ。あたしは、もう少しここにいたかったのに…」
 うさぎは彼女を見上(みあ)げて、「もう千年以上(いじょう)たってるんですよ。いい加減(かげん)にして下さい」
<つぶやき>かぐや姫のかくれんぼはこうして終わったのです。でも、今度は月世界(げっせかい)で…。
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1421「クーポン券」

2023-10-05 17:39:26 | ブログ短編

 僕(ぼく)は友だちからクーポン券をもらった。でも、それが何のクーポンなのか、どこで使えるのかまったく分からなかった。詳(くわ)しいことは何も書かれていないのだ。その友だちも、知り合いの人からもらったものだそうだ。
 僕は、とりあえず財布(さいふ)の中へ入れておくことにした。まぁ、どこかへ行ったときに使える店が見つかるかもしれない。でも、その機会(きかい)はまったく無(な)かった。
 数年後のことだ。家の近くに不思議(ふしぎ)な店が開店(かいてん)した。開店のときの宣伝広告(せんでんこうこく)とかまったく無かったので、何の店なのか分からない。それに、普通(ふつう)なら店の中が見えるように窓(まど)とかあるはずなのに、そこには入口(いりぐち)の扉(とびら)だけなので入りずらいこと此(こ)の上なしだ。でも、夕方(ゆうがた)には閉(し)まっているようなので、飲(の)み屋でないことは間違(まちが)いないだろう。
 僕はあることに気がついた。扉に貼(は)ってある小さなマーク。これは…どこかで見たことがあるような…。僕は思わず声をあげそうになった。急いで財布を開いて、あのクーポン券を出してみた。そこには、扉にあるマークと同じものがあった。
 僕は何だか嬉(うれ)しくなった。今まで引(ひ)っかかっていたものがスッキリとれたような…、そんな感じだ。その時だ。店の扉が開いて、中から若(わか)い女性が出てきた。
 その女性は、店の前にいた僕を見て言った。「どうぞ、お入り下さい」
 僕は明(あき)らかに動揺(どうよう)して、「いやいや、僕は…。お、お客(きゃく)とかじゃ…」
 女性は僕が手にしているクーポン券を指差(ゆびさ)して、「それ、使えますよ」
<つぶやき>いったい何のお店なのか? ここは、冒険(ぼうけん)するのもありかもしれませんよ。
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1420「しずく199~怪獣対決」

2023-10-01 17:54:26 | ブログ連載~しずく

 巨大(きょだい)トカゲは月島(つきしま)しずくに狙(ねら)いをつけたようだ。ゆっくりと近づいて射程(しゃてい)に入ると口から舌(した)が飛(と)び出した。しずくはそれを瞬時(しゅんじ)にかわして、川相姉妹(かわいしまい)に言った。
「わぁ、すごいじゃない。でも、あの舌に触(さわ)られるのはちょっとねぇ」
 しずくはイヤそうな顔をしているが、どこか楽(たの)しげである。初音(はつね)は呆(あき)れて言った。
「もう、ふざけないでよ。こいつを何とかしないと、あたしたち食べられちゃうのよ」
「大丈夫(だいじょうぶ)よ。だってここは幻覚(げんかく)の世界(せかい)よ。そうだ。こんなのどうかしら?」
 しずくが手をかざすと、そこに…これも巨大なヒキガエルが現れた。
 琴音(ことね)が思わず呟(つぶや)いた。「うわ~ぁ、もうやめてよ。気持(きも)ち悪(わる)い…」
 ここに、まるで怪獣映画(かいじゅうえいが)のようなトカゲとヒキガエルの対決(たいけつ)が始まった。
 場所(ばしょ)が変(か)わって、水木涼(みずきりょう)たちに敵(てき)が迫(せま)っていた。涼は貴志(たかし)に叫(さけ)んだ。「アキを守(まも)って!」
 敵は階段(かいだん)を上がり近づいて来る。貴志は工具(こうぐ)を手に身構(みがま)えた。アキは能力(ちから)を使って日野(ひの)あまりを助(たす)ける手立(てだ)てを探(さぐ)っていた。涼に敵が向かってくる。涼は剣(けん)を使って攻撃(こうげき)をくい止(と)めた。そして、二人の方へ助けに行こうと奮闘(ふんとう)する。貴志も敵を近づけまいと防戦(ぼうせん)を…。
 貴志が敵を階段の所まで押(お)し戻(もど)すと、アキの近くに敵が姿(すがた)を現した。そして、アキに向かって手にした棍棒(こんぼう)を振(ふ)り下ろした。
<つぶやき>これ、絶体絶命(ぜったいぜつめい)なんじゃないですか。アキはやられてしまうのでしょうか?
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