みけの物語カフェ ブログ版

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1424「ゲームの誘い」

2023-10-17 17:40:17 | ブログ短編

 彼に、まったく知らない企業(きぎょう)からメールが届(とど)いた。どうやらゲーム会社(がいしゃ)のようで、新しいオンラインゲームの参加者(さんかしゃ)を募集(ぼしゅう)をしているようだ。彼は学生(がくせい)の頃(ころ)、ゲーマーを自負(じふ)していた。でも、こんなゲームは初めてだった。俄然(がぜん)、興味(きょうみ)を持って参加を決(き)めた。
 それはサバイバルゲームのようだ。かなりのクオリティーでまるで現実(げんじつ)の世界(せかい)のようだった。それにゲーム展開(てんかい)が手に汗(あせ)握(にぎ)る感じで、久(ひさ)しぶりに彼もはまってしまった。ゲームにはいろんなアバターが登場(とうじょう)して、世界中に参加者がいるようだった。
 何度かやっているうちに、彼は知り合いの女性にそっくりなアバターを見つけた。髪型(かみがた)も目鼻立(めはなだ)ちも、顔のホクロの位置(いち)まで同じ…。これは、間違(まちが)いなく彼女をモデルに作られたアバターだ。彼女も参加しているのか?
 彼女とはもう何か月も会っていなかった。彼は彼女に電話(でんわ)をしてみた。でも、どういうわけか電話はつながらなかった。共通(きょうつう)の友人(ゆうじん)に連絡(れんらく)をとると、その友人も彼女とはまったく連絡がつかないと言った。いったいどうしてしまったのか?
 まだゲームの途中(とちゅう)だったので、彼はパソコンの画面(がめん)に目を戻(もど)した。そこには彼女のアバターがいて、彼はなぜか見つめられているように感じた。そして、そのアバターは何かを訴(うった)えるように手を振(ふ)って叫(さけ)び始めた。彼はパソコンの画面に釘付(くぎづ)けになった。ボリュームを上げてみるが、何を言っているのか聞き取れない。
 次の瞬間(しゅんかん)、パソコンの画面から強い光が放(はな)たれた。彼は思わず目を閉(と)じた。
<つぶやき>これは、ゲームの世界に取り込まれちゃったのか? 彼も消(き)えちゃうかも…。
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