みけの物語カフェ ブログ版

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1355「しずく186~烏山」

2023-02-05 17:19:23 | ブログ連載~しずく

 柊(ひいらぎ)あずみたちは二手(ふたて)に分かれていた。この壁(かべ)がどこまで、どう続(つづ)いているのか確(たし)かめるためだ。四人が合流(ごうりゅう)したのは国道(こくどう)の近くだった。その間にいくつもの道を横切(よこぎ)ったが市民(しみん)の姿(すがた)はなかった。
 神崎(かんざき)つくねはリュックから地図(ちず)を取り出した。そこに赤ペンで壁の位置(いち)を記入(きにゅう)していく。その結果(けっか)、壁は円(えん)を描(えが)いていて、市のほぼ全域(ぜんいき)が中に入っていた。その円の中心(ちゅうしん)にあるのは烏山(からすやま)だ。市内を南北(なんぼく)に分けていて、それほど高くはないが山並(やまな)みが続いている。
 あずみがひとり言のように呟(つぶや)いた。「ここに何かあるかもしれないわ」
 そこへ千鶴(ちづる)からみんなにテレパシーが届(とど)いた。高校(こうこう)に男が現れて、涼(りょう)たちが調(しら)べに向かったと。あずみは千鶴に返事(へんじ)を返した。<何で二人だけで行かせたのよ>
 千鶴はそれに対して、<仕方(しかた)ないでしょ。他(ほか)に誰(だれ)もいないんだから。きっと大丈夫(だいじょうぶ)よ>
 あずみはつくねと学校(がっこう)へ向かうことにした。そして、初音(はつね)と琴音(ことね)には戻(もど)って待機(たいき)するように指示(しじ)を出した。あずみとつくねが飛(と)んだあと、琴音が言った。
「ねぇ、わたしたちだけで行ってみない? 烏山へ」
 初音の気持(きも)ちも同じだった。「そうね。あたしたちだけで行きましょ。あまりが、そこにいるかもしれない。早く助(たす)けてあげないと…」
 二人は頷(うなず)き合うと、同時(どうじ)に姿を消(け)した。風が吹(ふ)き、砂埃(すなぼこり)が舞(ま)い上がった。
<つぶやき>勝手(かって)な行動(こうどう)はしない方がいいけど…。しなきゃいけないときもあるのです。
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