暗い夜道(よみち)を歩く女子高生。友達(ともだち)とおしゃべりをしていて帰りが遅(おそ)くなったのだ。彼女の家の近くは住宅(じゅうたく)もまばらで、駅前(えきまえ)を離(はな)れると人通(ひとどお)りもなくなってしまう。一軒(けん)しかないコンビニの前を通りかかったとき、数人の男達がたむろしているのが見えた。彼女は目を合わせないように足早に通り過ぎる。しかし、男達があとを追(お)いかけて来て、
「ねえ、俺(おれ)たちと遊(あそ)ばない? いいだろ、面白(おもしろ)いとこ連れてってやるよ」
彼女は見ないようにして歩(ほ)を早める。男の一人が彼女の肩(かた)をつかみ振(ふ)り向かせると、
「無視(むし)すんじゃねえよ。ちょっと金貸(か)してくれないかな。持ってるんだろ? 財布(さいふ)出しな」
彼女は叫(さけ)び声を出そうとしたが、声にならない。男はニヤリと笑(わら)うと、彼女の腕(うで)をつかんで暗がりの方へ引っ張(ぱ)って行った。彼女にはどうすることもできない。
だが、男達が行こうとした先(さき)から人影(ひとかげ)が急(きゅう)に現れた。男達はそれに気づいて足を止める。暗がりの中から声がした。「嫌(いや)がってるじゃないか。その汚(きたな)い手を離(はな)しな」
暗がりから現れたのは、時代劇(じだいげき)に出て来るような侍(さむらい)姿(すがた)の男。腰(こし)には刀(かたな)を差(さ)していた。
「何だ、おっさん。邪魔(じゃま)すんなよ。向こうへ行ってろ」
「そうしたいところだが、わしは弱(よわ)い者いじめをする奴(やつ)が嫌(きら)いでな」
侍姿の男は、杖(つえ)代わりに持っていた木の棒(ぼう)を刀のように構(かま)えた。男の一人が言った。
「面白いじゃないか。俺たちに勝(か)てると思ってるのか? このコスプレ野郎(やろう)!」
<つぶやき>突然(とつぜん)現れたお侍さん。彼女を助けることができるのか? この先の展開(てんかい)は?
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