みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1318「転機」

2022-10-17 17:33:59 | ブログ短編

 彼女は愛(あい)していた男性に捨(す)てられた。その傷心(しょうしん)を癒(いや)やすために、彼女は旅(たび)に出た。あてのない旅の途中(とちゅう)で、彼女はとあるひなびた村(むら)にやって来た。そこで彼女は、村の婦人(ふじん)から声をかけられた。話をしているうちに、彼女はその婦人に家に泊(と)まらないかと誘(さそ)われた。
 村を通るバスはもうないようだ。彼女はその婦人の好意(こうい)に甘(あま)えることにした。婦人やその家族(かぞく)は、彼女を歓待(かんたい)した。だんだん打ち解(と)け合って、彼女は自分の身(み)の上をぽつりと話した。婦人は彼女に言った。「もしよかったら、いつまでもいてくれていいんだよ」と…。彼女は少しほっとしたようで、「それも、いいかも…」と、返事(へんじ)を返(かえ)した。
 翌朝(よくあさ)。彼女は久(ひさ)しぶりにぐっすり眠(ねむ)れた。彼女が起きてくると、お客(きゃく)がいた。婦人は彼女にその人を紹介(しょうかい)した。村の役場(やくば)の人だという。彼女に空(あ)き家を紹介したいと…。彼女は驚(おどろ)いた。役場の人は、村に移住(いじゅう)する人を募集(ぼしゅう)しているという。
 彼女は半(なか)ば強引(ごういん)に、役場の人と一緒(いっしょ)にその空き家を見に行くことになった。その家に着いてみると、リフォームの工事(こうじ)が始まっていた。すぐに住(す)むことができるように急(いそ)がせていると、役場の人は説明(せつめい)した。彼女は迷(まよ)っていた。急(きゅう)にそんなこと決(き)められない。
 役場の人は、最後(さいご)の一押(ひとお)しのように彼女に言った。「費用(ひよう)のことは心配(しんぱい)いりません。リフォーム工事や、引っ越しにかかるお金はすべて村で負担(ふたん)しますから。それに、仕事(しごと)についても、こちらで紹介することは可能(かのう)です。ぜひ、移住の決断(けつだん)をしてください」
<つぶやき>これは、とんでもないことに…。彼女の人生(じんせい)を変える転機(てんき)になるのかもね。
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コメント
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