みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1316「恋の迷路」

2022-10-11 17:35:24 | ブログ短編

 彼は、昼休(ひるやす)みに友だちに呼(よ)び出された。顔を合わせるなりその友だちは、
「お前、ひかりと付き合ってるんだろ。どうして神谷(かみや)さんからの告白(こくはく)を断(ことわ)らなかったんだ?」
 彼はまごつきながら答(こた)えた。「お前、どうしてそれを……。だって…、あれだ。神谷さんは、俺(おれ)がひかりと付き合っててもかまわないって言うから…」
「何てヤツだ。お前、ひかりのことが好(す)きじゃないのか? 二股(ふたまた)かけるなんて!」
「お前が怒(おこ)ることじゃないだろ。それに、ひかりから<好き>だって言われて付き合い始めたけど…。俺は、ひかりのことが好きなのかどうかは…」
「お前、付き合ってんだろ。好きだって言われたんだろ。何だよ、その態度(たいど)は。許(ゆる)せん!」
「何でお前が熱(あつ)くなってんだよ。お前…、まさか、ひかりのことが好きだったのか?」
「違(ちが)うよ。お、俺が、好きなのは…。神谷さんなんだ! あの娘(こ)、何か…いいだろ?」
「なにニヤけてんだよ。お前ってさ、松下(まつした)みのりが好きなんじゃないのか? そう聞いたぞ。お前、俺には二股だって責(せ)めるけど、お前は何股かけてんだよ」
「そ、それは…。別に、いいじゃないか。俺の場合(ばあい)は、誰(だれ)にも迷惑(めいわく)かけてないし――」
 友だちはやけくそになったみたいに、「そうだよ。俺は、誰とも付き合ってないよ。好きだって言ってるけど、誰にも告白してないし。全部、俺の妄想(もうそう)だよ。何か文句(もんく)あんのかよ!」
<つぶやき>好きになるってどういうことなのか…。恋(こい)の迷路(めいろ)に分け入ってみませんか?
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