みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1314「絶体絶命」

2022-10-05 17:30:58 | ブログ短編

 彼はベッドの中でまどろんでいた。陽(ひ)の光が優(やさ)しく射(さ)し込んでいる。
「もう…朝(あさ)か…」彼は目をしばたかせてそう呟(つぶや)くと、また目を閉じた。
 その時だ。玄関(げんかん)のチャイムが鳴(な)った。そして、聞き覚(おぼ)えのある声がする。彼が付き合っている彼女の声だ。彼はハッとして、
「何で…。友だちと旅行(りょこう)に行ったはずじゃ…」
 彼は飛(と)び起きた。彼の隣(となり)には、裸同然(はだかどうぜん)の女性がまだ寝息(ねいき)をたてている。外(そと)から鍵(かぎ)を開ける音がした。彼は、彼女に「いつでも来ていいよ」と、格好(かっこう)つけて合鍵(あいかぎ)を渡(わた)したのだ。何で渡してしまったのか、今さら後悔(こうかい)しても、もう遅(おそ)い。
 その時、彼の視界(しかい)の隅(すみ)に時計(とけい)が現れた。それは、どうやらタイマーのようで、残(のこ)り十秒を表示(ひょうじ)していた。彼は心の中で呟いた。
「どういうことだよ。十秒で対処(たいしょ)しろっていうのかよ。そんなのムリじゃねぇか…」
 彼は、いろんなシミュレーションを重(かさ)ねてみた。しかし、どう考えても、ベッドに寝(ね)ている女性のことを、どう彼女に説明(せつめい)すればいいんだ!
 タイマーはカウントダウンを続けている。残りはわずか三秒だ!
 彼はベッドの女性を布団(ふとん)で隠(かく)すと、玄関へ走った。結局(けっきょく)、彼はノープランでこの局面(きょくめん)を乗り切ろうというのか…。しかも、彼はパンツ一枚しか着(つ)けていなかった。
<つぶやき>これは最悪(さいあく)ですよね。こんな男は、けちょんけちょんにしてやりましょう。
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コメント
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