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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1286「からぶり」

2022-08-04 17:35:22 | ブログ短編

 挙動不審(きょどうふしん)な彼女。周(まわ)りをきょろきょろして、落ち着きがない様子(ようす)。どうやら、誰(だれ)かを待(ま)っているようだ。そこへ彼がやって来た。彼女を見つけると手をあげて近づいて来る。彼女はますます落ち着きがなくなって、彼をまともに見られないようだ。
 彼は、「ごめん。遅(おく)れちゃったね。で、話しって…なに?」
 彼女は何か言おうとするのだが、言葉(ことば)にならない。彼女はもう、もじもじするばかり…。
 彼は、「この近くに行きつけのお店(みせ)があるんだけど。そこへ行かない?」
 彼女はうなずいた。そして、彼のあとについて行く。彼女は歩きながら、何かぶつぶつと呟(つぶや)いていた。彼は、それが何なのか気になって振(ふ)り返る。彼女は、思わず彼とぶつかってしまった。彼は、彼女を抱(だ)き止める。これは、彼の胸(むね)に飛(と)び込んじゃったって感じ――。しばらくの間(ま)があって…。彼女は、彼を突(つ)き放(はな)した。彼女は顔を赤くして、「ごめんなさい」を繰(く)り返した。
 店に入っても、彼女は何も言えないでいた。そんな彼女を見て、彼は心配(しんぱい)になった。
「何か…悩(なや)みとかあるのか? 俺(おれ)でよかったら、話し…聞いてやっても…」
 彼女は引(ひ)きつったような声で言った。「あたしと…付(つ)き合ってください」
 彼はうなずきながら、「ああ…。まあ、いいけど…。で、どこへ行きたいの?」
 彼女は気が抜(ぬ)けたように呟いた。「いや、そういうことじゃなくて……」
<つぶやき>彼女は恋愛対象(れんあいたいしょう)にはなっていなかったのかな? あきらめずに、がんばれっ。
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