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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1287「時間がない」

2022-08-06 17:42:48 | ブログ短編

 私には、ちょっと変わった友人(ゆうじん)がいる。そいつは、いつもつまらなそうにしていて…。私が知る限(かぎ)り、楽(たの)しんでいる趣味(しゅみ)とかもなく、女性と付き合っている話しも聞いたことがない。私は、その友人に訊(き)いてみた。
「君(きみ)は、何かに夢中(むちゅう)になったことはないのかい?」
 友人は答(こた)えた。「君は知らないのか? 夢中になると時間(じかん)が早く進(すす)んでしまうことを…」
「ああ、そうだね。楽しい時間はあっという間(ま)に過(す)ぎちゃうからなぁ」
 友人は深刻(しんこく)な表情(ひょうじょう)で、「そうだろ。楽しんでばかりいたら、僕(ぼく)の寿命(じゅみょう)はあっという間に尽(つ)きてしまう。僕は、少しでも長く生きていたいんだ」
「おい、ちょっと待(ま)てよ。時間は誰(だれ)にでも平等(びょうどう)だ。君の時間だけ早くなるなんてことあるわけがないだろ? 君は、そんなことを心配(しんぱい)してたのかい」
「そんなこと…。どうして、そんなことが言えるんだ? 誰にでも寿命はある。時間は限(かぎ)られてるんだ。僕は楽しむために寿命を削(けず)ることはできない」
「君は間違(まちが)ってるよ。寿命があるからこそ楽しまなきゃ。人生(じんせい)は一度きりだ。君も、何か夢中になれることを見つけた方がいいよ」
「ダメだ。僕には、やりとげないといけない仕事(しごと)があるんだ。楽しむなんてムダなこと…」
「ムダじゃないよ。楽しむのも、人生に必要(ひつよう)なことだ。君だって、そう思ってるんだろ?」
<つぶやき>時間の進み方が人によって違うとしたら…。あなたは楽しみを捨(す)てますか?
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