みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1215「しずく158~開戦前」

2022-03-12 17:52:55 | ブログ連載~しずく

「総理(そうり)、つけ心地(ごこち)はいかがでしょうか?」執務室(しつむしつ)で小暮(こぐれ)が言った。
「ああ…。まぁ、腕時計(うでどけい)みたいなものだから気にはならないがねぇ。しかし、本当(ほんとう)に必要(ひつよう)なことなのかね? わしには、やり過(す)ぎとしか思えんが…」
「これは勝手(かって)に取り外しができないようになっていますので、本人(ほんにん)の証明(しょうめい)になります。それに所在(しょざい)の確認(かくにん)も容易(ようい)です。報告(ほうこく)によると、姿(すがた)を変えられる能力者(のうりょくしゃ)がいるということなので、その侵入(しんにゅう)を防(ふせ)げるはずです。総理の安全(あんぜん)のためには――」
 ドアがノックされて、権藤(ごんどう)が神崎(かんざき)を連れて入って来た。小暮が言った。
「神崎さん、お待ちしておりました。どうぞ、こちらへ」
 神崎がソファに座ると、総理がゆっくりと彼の前に座って言った。
「すまなかったね。君(きみ)たちが信用(しんよう)に値(あたい)するかどうか知りたかったんだ」
 神崎は緊張(きんちょう)した面持(おもも)ちで、「そ、そうでしたか…。私たちは、この国のために――」
 小暮が口を挟(はさ)んだ。「ところで、黒岩(くろいわ)がどこにいるかご存知(ぞんじ)ないですか? 実(じつ)は、姿を消(け)してしまいまして。今、捜索(そうさく)をしているところなんです」
 神崎は何かを合点(がてん)したように、「私は、何も…。黒岩が何かを企(たくら)んでいると…?」
 小暮は小さく肯(うなず)いて、「黒岩は何人も能力者を使っているようで、こちらもその対応(たいおう)に苦慮(くりょ)しています。そこで、あなた方に協力(きょうりょく)していただきたいのです」
<つぶやき>これから何が起こるのか。しずくたちも、巻(ま)き込まれていくことになるかも。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする