みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1220「しずく159~お弁当」

2022-03-22 17:35:18 | ブログ連載~しずく

 朝の烏杜高校(からすもりこうこう)。登校(とうこう)してくる生徒(せいと)たちが校門(こうもん)を入って校舎(こうしゃ)へ向かっていた。その中に、日野(ひの)あまりの姿(すがた)があった。少し離(はな)れて、彼女の後(あと)をつけていく人影(ひとかげ)が――。彼女はそれに気づいていないようだ。
 午前中(ごぜんちゅう)の授業(じゅぎょう)が終わると、あまりはお弁当(べんとう)を手にこっそりと屋上(おくじょう)へ向かった。屋上へ出るのは禁止(きんし)されているのだが、先輩(せんぱい)の水木涼(みずきりょう)からたまに行っていることを聞かされていたのだ。それ以来(いらい)、彼女もここを利用(りよう)することがあった。ここなら、誰(だれ)にも邪魔(じゃま)されずにいられるからだ。
 あまりが景色(けしき)を見ながらのんびりお弁当を食べていると、誰かが彼女の後(うしろ)に現(あらわ)れた。それは、川相初音(かわいはつね)だ。突然(とつぜん)、初音が声をかけたので、あまりは危(あや)うくお弁当を落としそうになった。初音は、あまりの隣(となり)に座(すわ)ると言った。
「一人でお弁当を食べるなんて、淋(さび)しくないの? あたしが付き合ってあげるよ」
 初音は売店(ばいてん)で買ってきたパンを出して食べ始めた。あまりは恥(は)ずかしそうに、
「あの…、先輩…。どうして、ここに…?」
「ああ…。気にしないで。あたしも、たまに来てるのよ。これ、誰にも言わないでね」
 初音は何かを感知(かんち)したのか、あまりを突(つ)き飛(と)ばすと姿を消(け)した。次の瞬間(しゅんかん)、二人のいた場所(ばしょ)に川相琴音(ことね)が現れた。すぐに、初音は琴音の背後(はいご)に姿を見せて琴音を掴(つか)んだ。
<つぶやき>あまりを守(まも)ることができるのか? 姉妹(しまい)の戦いが再び始まろうとしています。
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