みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1048「落ちる」

2021-04-09 17:50:40 | ブログ短編

「えっ、斉藤(さいとう)って…。あの身体(からだ)がデカくて、厳(いか)つい顔をした…あの斉藤?」
「うそっ、百合恵(ゆりえ)のタイプじゃないでしょ? だって、前(まえ)付き合ってた彼と真逆(まぎゃく)じゃない」
「そうなんだけど…。斉藤君ね、あたしが元彼(もとかれ)にからまれてるとき、助(たす)けてくれて…」
「ああ、そうきましたかぁ…。でも、斉藤って、女に興味(きょうみ)ないんじゃないのかなぁ」
「そうそう、彼って、何とかっていう…マイナーなスポーツやってるよね。確(たし)か、前の彼ってサッカーの選手(せんしゅ)だったでしょ。それに比(くら)べたら…」
「もう、そんなのどうだっていいわ。あたし、過去(かこ)は振(ふ)り返らないことにしてるから…」
 百合恵は、いそいそと斉藤を捜(さが)しに行ってしまった。残(のこ)された二人は、
「百合恵って、思い込み激(はげ)しいからなぁ。斉藤に告白(こくはく)しても断(ことわ)られるんじゃ…」
「いや、分かんないわよ。だって、斉藤って、まだ誰(だれ)とも付き合ってないんじゃない。ということはよ、女に免疫(めんえき)がないってことになるわ」
「そうよねぇ、あの斉藤に彼女がいるなんて聞いたことないし…」
「相手(あいて)は百合恵よ。校内(こうない)の美人(びじん)コンテストで2位だったけど、その彼女に告白されたら…」
「落(お)ちるわね。間違(まちが)いなく。売店(ばいてん)のメロンパンを賭(か)けてもいいわ」
「なんか斉藤君…、可哀相(かわいそう)になってきたわ。百合恵に振りまわされるの目に見えてるもの」
「あっ、わたし、もっと恐(こわ)いこと想像(そうぞう)しちゃった。斉藤が百合恵の浮気(うわき)に気づいたら…」
<つぶやき>こういう娘(こ)って、自分(じぶん)がいけないことしてるの気づいてないんだろうねぇ。
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コメント
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