「どうだろう…、今度(こんど)の休(やす)みはパパが提案(ていあん)した場所(ばしょ)にお出かけしよう。賛成(さんせい)してくれるね」
子供(こども)たちはお菓子(かし)の箱(はこ)を開(あ)けながら答(こた)えた。「分かったわ。パパに一票(いっぴょう)ね」
「僕(ぼく)も、そうする。任(まか)せてよ。すっごく楽(たの)しみだなぁ」
パパは満足(まんぞく)げに微笑(ほほえ)んだ。そして、「このことはママには内証(ないしょ)だよ。しゃべったら…」
――翌日(よくじつ)。子供たちが学校から帰ってくると、ママが子供たちを座(すわ)らせて言った。
「ねぇ、どうだった? 昨夜(ゆうべ)、パパ、何か言ってた?」
姉(あね)がそれに答えて、「パパってまったく分かってないわ。あたしたちがお菓子なんかで味方(みかた)になるなんて、今どきあり得(え)ないでしょ」
弟(おとうと)が驚(おどろ)いたように、「えっ、そうなの? でも、僕は行ってもいいかなって…」
「あんた、なに言ってるのよ」姉は呆(あき)れたように、「パパが行きたい場所よ。あたしたちが楽しめるようなところじゃないわ。あんただって分かってるでしょ?」
ママはうなずいて、「そうねぇ。もし行ったら、私たちのことほっといて一人で楽しんじゃうかもね。そうならないためにも、今度のお休みは…分かってるわね」
姉は即座(そくざ)に答えた。「もちろん、分かってるわよ。あたしはママの味方よ」
弟は困(こま)った顔をして、「えっ、そうなの? 昨夜はパパに――」
姉は弟を睨(にら)みつけて、「あんたも賛成よね。ママの提案の方が良いに決まってるじゃない」
<つぶやき>子供は、ときに残酷(ざんこく)なことをすることがあるようで…。怒(おこ)らないで下さいね。
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