みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0945「しずく104~監獄」

2020-08-28 18:16:52 | ブログ連載~しずく

 ここはじめじめとした洞窟(どうくつ)のような場所(ばしょ)。薄暗(うすぐら)く天井(てんじょう)の小さな穴(あな)からわずかに明かりが差し込んでいる。奥へ行くと鉄格子(てつごうし)の部屋(へや)がいくつもあり、どうやら監獄(かんごく)のようだ。
 看守(かんしゅ)らしき男が大きなライトを手に、警棒(けいぼう)で鉄格子をカンカン鳴(な)らしながらやって来た。そして、鉄格子の中をライトで照らして中の様子(ようす)を確認(かくにん)していく。部屋の中には子連(こづ)れの夫婦(ふうふ)、男、女、男女で、など、数十人の人間(にんげん)が分けられて入れられていた。その中のひとつの前で看守は足を止めた。看守はライトで中を照らして言った。
「あれだけ大口(おおぐち)を叩(たた)いたくせに、舞(ま)い戻(もど)ってくるとはな。どんなヘマをやらかしたんだ?」
 ライトで浮かび上がったのは、薄汚(うすよご)れた制服(せいふく)を着た娘(むすめ)。川相初音(かわいはつね)だ。彼女は、
「うるさい。あっちへ行って…。行かないと、あんたの首(くび)をしめてやるから」
「おいおい、そんなこと言うなよ」看守はにやつきながら、「ここじゃ能力(ちから)は使えないんだぞ。お前はただのガキだ。また仲良(なかよ)くやろうぜ」
 看守は鍵(かぎ)をガチャガチャ鳴らして扉(とびら)を開けると、またにやつきながら言った。
「俺(おれ)がなぐさめてやるよ。さぁ、こっちへおいで…」
 初音は声を震(ふる)わせて、「こないで…。イヤよ…。あなたの言いなりにはならない…」
「俺は待ってたんだぞ。お前がいないとつまらなくてなぁ。これで楽しみができた」
<つぶやき>初音の過去には何があったんでしょうか? これからどうなってしまうの。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする