みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0864「これって運命?」

2020-04-14 18:10:36 | ブログ短編

 とある居酒屋(いざかや)で、同じ職場(しょくば)の仲間(なかま)が集まって女子会(じょしかい)が開かれていた。一人の女性が酔(よ)ってしまったのか、大きなため息(いき)をついて愚痴(ぐち)をこぼした。
「ああ、どっかに大富豪(だいふごう)の御曹司(おんぞうし)いないかなぁ。そしたらすぐに結婚(けっこん)してあげるのに」
 隣(となり)にいた娘(こ)がなだめるように、「なに言ってるのよ。あなた高望(たかのぞ)みしすぎよ」
「そんなこと分かってるわよ。でもね、あたし、超(ちょう)セレブになりたいの。いけない?」
 目の前に座(すわ)っていた男性が声をかけた。「あの、大丈夫(だいじょうぶ)ですか? お水でも…」
「えっ…」女性は男の顔をまじまじと見つめて、「あんた、何でいんのよ?」
「あ…の…。僕の歓迎会(かんげいかい)だって…誘(さそ)われたんですが…」
「ああ、そうだったわね。ごめん…。でもさ、何でうちの会社にきたのよ。女ばかりの会社なのに…。あ、そうか…。他に良い会社なかったんだ。中途採用(ちゅうとさいよう)じゃ大変(たいへん)よねぇ」
 隣の娘(こ)が男に言った。「ごめんなさい。この娘、飲むとこれだから。気にしないで」
「僕は大丈夫ですよ。あの…、今の話しなんですが、僕でよかったら…」
 女性はとろんとした目をして、「なによ。文句(もんく)でもあんのか?…」
 男は手を上げて、「いや…。実(じつ)は、僕、大富豪の御曹司なんですけど…」
 女性は男の襟元(えりもと)をつかんで自分の方へ引き寄(よ)せると、睨(にら)みつけて言った。
「ふざけてんのか? そんな大富豪の御曹司がゴロゴロいるわけないだろ!」
<つぶやき>そうですよね、そんなバカなこと…。でも、まさかってことがあるかもよ。
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コメント
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