「あたしのこと、どう思ってんの?」
おっと、これはいきなりの直球勝負(ちょっきゅうしょうぶ)だ。これはまさに彼女の性格(せいかく)の表(あらわ)れなのか…。
「どうって…、別に…」
これは予想通(よそうどお)りです。彼にしてみれば、どう答(こた)えればいいのか分からない。
「だから…。それくらい分かるでしょ。つまり、あたしと……つきあっ……」
これはいけません。どんどん声が小さくなっている。これでは彼には伝わらない。
「ごめん。今は――」
あらら、これは当(あ)たって砕(くだ)けちまうのか? でも、彼女の勇気(ゆうき)は称賛(しょうさん)に値(あたい)する。
「でも、別れるつもりなんだ。今の彼女とは…。そしたら、君(きみ)と付き合っても…」
「えっ、そうなの? 付き合ってる人がいるなんて、知らなかったわ…」
これは意外(いがい)な展開(てんかい)になってきた。彼女にも勝算(しょうさん)が出てきたのか――。
「あの…、いま付き合ってる彼女って、だれ? あたしの知ってる人?」
「えっ…。まあ、そうなのかな……?」
彼は言葉(ことば)を濁(にご)している。まさか、彼女にごく近い友だちの中にいるのか…。
「だれよ。教えてくれてもいいじゃない。もしそうなら…あたし…」
これは究極(きゅうきょく)の選択(せんたく)なのか? もし彼と付き合えば、友だちを失(うしな)うことになるかもしれない。それにしても、この青年(せいねん)はモテ期(き)真っ只中(ただなか)って感じなのか? うらやまし過(す)ぎる!
<つぶやき>もし、こんな実況(じっきょう)が聞こえてきたら、落ち着いて告白(こくはく)なんかできませんよね。
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