自分(じぶん)でこんなことを言うのはあれだけど…。私は、可愛(かわい)いというわけでもないし、人付(ひとづ)き合いもけして得意(とくい)な方とはいえない。でも、仕事(しごと)では誰(だれ)にも負(ま)けてないと思っている。入社以来(いらい)、どんなことでもやってきたし、同期(どうき)の可愛いだけで要領(ようりょう)の良い女から押(お)しつけられた仕事だって、何度も代(か)わりにやってあげたことがある。
私にとって、そんなことはどうでもいいし、何とも思わない。私のした仕事はすべて私のスキルになるから。結果(けっか)は必(かなら)ずついてくるはずだ。私はそれを信じている。
ところが、どういうわけかその女が昇進(しょうしん)することになった。仕事もろくにしないで、上司(じょうし)に媚(こ)びるような女が――。この会社の人事(じんじ)はどこを見てるんだ。私は怒(いか)りにまかせて辞表(じひょう)を書いてしまった。書き終(お)わって、私はふと考えた。
自分は何をしてるんだろう。何で、私が会社を辞(や)めなくちゃいけないんだ。そもそも、あの女と私を較(くら)べる必要(ひつよう)があるのか?
NOだ! 私は私だ。私は、私のやるべき仕事をやるだけだ。
そう考えたら、何だか気持ちが楽(らく)になった気がする。
しばらくして、あの女が突然(とつぜん)、〈あたし、明日結婚(けっこん)します!〉と宣言(せんげん)して、会社を辞めてしまった。それを聞いた私は、何だか、もやもやとした…、言いようのない感情(かんじょう)が湧(わ)き上がってくるのを感じた。これは、いったい何なのか……。
<つぶやき>人は較べたがるものなのかもね。でも、自分らしくあればいいんじゃないの。
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