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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0793「これでいいの?」

2020-02-02 18:16:19 | ブログ短編

 この街(まち)には超人(ちょうじん)が住んでいた。彼はその能力(のうりょく)を使って、災害(さいがい)や事故(じこ)現場での救出(きゅうしゅつ)、犯罪者(はんざいしゃ)の逮捕(たいほ)などに協力(きょうりょく)していた。おかげでこの街はどこよりも住みやすい場所になっている。だが、彼には憂慮(ゆうりょ)していることがあった。それは――。
「君(きみ)たちかい? 僕(ぼく)を呼(よ)んだのは」超人は子供(こども)たちを前にして言った。
「そうだよ。僕たち、助(たす)けてほしいことがあるんだ。とっても困(こま)ってるんだ」
「そうか…。で、何に困ってるんだい?」
「実(じつ)はね、先生(せんせい)が宿題(しゅくだい)を出したんだ。それが、とっても難(むずか)しくて。代(か)わりにやってよ」
 超人はため息(いき)をつくと、「悪(わる)いが、それはムリだ。君たちで解決(かいけつ)したまえ」
「えっ、何でだよ。何でもやってくれるんじゃないの? ママが言ってたよ」
 超人は子供たちをさとすように言った。「宿題は、先生が君たちの学習(がくしゅう)のために出したものだ。君たちの頭で考え行動(こうどう)することが大切(たいせつ)なんだ。努力(どりょく)することを怠(おこた)っては――」
 子供の一人が叫(さけ)んだ。「何だよ、ほんとは出来(でき)ないんだろ。もう行こうぜ」
「そうだな。きっとこのおじさん、何にも知らないんだよ。小学校の問題(もんだい)が解(と)けないなんて、笑(わら)っちゃうよな」
 超人は、子供たちが駆(か)けていくのを見送(みおく)りながら呟(つぶや)いた。
「まいったなぁ。子供のとき、ちゃんと勉強(べんきょう)しとけばよかったよ」
<つぶやき>そこかい? 宿題は、まず自分で考えてみよう。どうしても解(わか)らない時は…。
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