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みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0035「水曜の女」

2017-05-24 19:32:19 | ブログ短編

 智美(ともみ)と遥(はるか)は十年来の友(とも)だった。でも、同じ人を好きになってしまい、一ヵ月前から絶交状態(ぜっこうじょうたい)にあった。
 智美が行き付けだった飲み屋をのぞくと、遥が酔(よ)いつぶれていた。この店には仕事帰り、よく二人で来ていたのだ。絶交してからは、智美は足が遠(とお)のいていた。
「やあ、久し振りじゃない」店主はいつもの笑顔でそう言うと、「遥ちゃん、どうしたんだろうねぇ。こんなになるまで飲んだことないのに」
「もう、しょうがないな」智美は隣(とな)りに座り遥を揺(ゆ)り起こし、「ねえ、遥。起きなさいよ」
「うーん」と遥はゆっくり顔をあげると、智美の顔を覗(のぞ)き込み、「あっ、智美!」
「あんた、飲みすぎだよ。いい加減(かげん)にしなよ」
「智(とも)にそんなこと言われたくないよ。何でここにいるのよ」
「遥と同じ理由(りゆう)。私も、酔いつぶれようと思ってね」
「智も振られたんだ。はははは…。おかしくって…。たまんないわ。ふふふ…」
「そうね。まさかね、他の女がいたなんて。私たち、何やってたんだろう」
「まったくだよ。仕事(しごと)が忙(いそが)しいとか言って、水曜日にしか会ってくれなかったんだよ」
「水曜の女か…。私は、木曜だったなぁ。ねえ、また友達になってくれる?」
「なに言ってるの。私たちの腐(くさ)れ縁(えん)はいつまでも続くの。二人でいい男、見つけるわよ」
<つぶやき>空元気(からげんき)でもいいんですよ。前を向いて突き進みましょう。きっと明日は…。
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