どうして君(きみ)を好きになったんだろう?
出会いは最悪(さいあく)だった。君は僕(ぼく)を殴(なぐ)り飛ばしたんだから。君の友達をもて遊んだ男と間違(まちが)えて…。僕ってそんなにひどい男に見えたのかな? その後、君は僕に謝(あやま)るどころか、ひと晩(ばん)じゅうつき合わせたよね。いま思うと、それが君にとって精一杯(せいいっぱい)の謝罪(しゃざい)だったのかな?
初めて会ったときから、君は自己中(じこちゅう)でわがままだったよね。僕が携帯(けいたい)番号を教えたら、毎日のようにかけてきて…。あれは何だったのかな? 君はひとりでしゃべって、僕の返事(へんじ)も聞かずにすぐに切ってしまう。結局(けっきょく)、僕が君に合わせるしかないじゃないか。
僕が約束(やくそく)の時間に遅(おく)れたとき、君はほっぺたを丸くして僕を睨(にら)みつけたよね。僕はそれを見て笑っちゃった。だって、とっても可愛(かわい)かったから。その時からかな、君のことを好きになったのは。でも、僕から君に近づくと、君は距離(きょり)をとってしまう。どうしてかな?
君から突然(とつぜん)別れようって言われたとき、僕は目の前が真っ暗になった。理由(わけ)を訊(き)いても、君は泣いてばかりで。はじめて君の涙(なみだ)を見た。この時、僕は決めたんだ。君を守るって。君を抱(だ)きとめることができるのは、僕しかいないんだから。僕がそう言ったら、君は黙(だま)ってうなずいたよね。今、君は僕の横で寝息(ねいき)をたてている。あの涙は何だったのか、今でも分からない。でも、いいんだ。君の幸(しあわ)せそうな寝顔(ねがお)を、こうして見ていられるんだから。
<つぶやき>相手(あいて)のすべてを知ることはできません。でも、愛があればそれで充分(じゅうぶん)です。
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