ピアノの先生の生活

ピアノ講師、ブライダル奏者としての日常と
その都度のはまりものへの情熱を綴るくだらな雑記

推薦

2010-10-06 00:06:34 | 趣味
もったいなくて読むのを先延ばししていた三部作の最終巻を読み終えた。
この巻は作者急逝のため未完なのではあるが、それでも素晴らしい小説であった。
第一部「裸者と裸者」、第二部「愚者と愚者」とも分厚い上下巻二冊づつ、
第三部「覇者と覇者」だけ厚い一冊だ。
話しはこの日本で内戦が勃発し、いつまでたっても収束しない様を
戦争孤児から軍隊の隊長になった男の子と、彼に関わる元気な少女マフィア達の
方面から切り取っている。
混沌とした様、ジェンダー論、そして戦争というものをこんなに現実的に書いた小説はなかなかない。
その描写は細に渡ったためグロすら感じさせるところもありながらも、
本当にいつもは見えないいろんな見えないものを見せてくれる小説だった。
第三部では戦争が一応収束し、平定して行く過程で利権というものはこういう風に出来上がり
新しい世界に残って行くんだなと知らされる。
最終的にどう終わるか、作者の気持ちが読みたかったのだが亡くなってしまったのは本当に残念だ。
この物語に自分を当てはめる時、簡単に爆弾で巻き添えになって木っ端微塵の姿が浮かぶ。
戦争ってそんなものなのだ。人の命なんて蟻程度。
今の日本の平和な状態なんて奇跡なのかも知れないとすら思える。
好きだった作家さんなので他の作品でも結構、読んで頂きたい。
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