明治乳業争議団(blog)

働くルールの確立で人間性の回復を!

都労委へ典型的な不当労働行為・差別事件であることを明らかにする要請

2011年08月01日 13時33分20秒 | レポート
2011年7月28日、都労委審査課へ要請
 
 この間に、審査・判断手法の到点も示しながら、①相対比較抜き「個別アラ捜し立証」の法的無意味性、②会社の「資料開示」をめぐる審査指揮の在り方、などについて繰り返し要請を行ってきたことを踏まえ要請を行いました。

明治乳業事件は典型的な不当労働行為・差別事件
 
 この種事件の判断要件に照らしても、①申立人ら集団の全国規模や各工場での旺盛な組合活動、②職分・賃金格差の実態、③格差の原因が申立人らの組合活動を嫌悪する差別意思によること等、会社作成のマル秘資料(数点にも及ぶ不当労働行為意思の直接証拠)でも極めて明白な事件です。

劣悪な労働実態を無視し会社は一気に人減らし「大リストラ」を強行

 不当労働行為・差別攻撃の原因と背景は1960年代初頭に遡ります。
明治乳業も都市部を中心に大型工場を次々と建設し、全国から多くの高校新卒者を採用します。
しかし、早朝から深夜に及ぶ変則勤務や長時間労働、7畳半に4名も同居させる寮生活、低賃金での生活などにより若い労働者らが、腰痛や胃腸障害、ノイローゼ等に次々と罹患したこと。そして、身体と生活が守れる労働条件をめざす組合活動が、全国各地で手探りから始めたこと。 
当時、労使協調路線にあった労働組合本部にして、労働条件の劣悪さを会社に訴えざるを得ない状況にあったこと。
しかし、会社は劣悪な労働実態を無視し、1965年頃から三交代制勤務の導入や、一層の人減らし「合理化」を強引に進め、同時に、協調路線の労使関係を脅かす組合活動の全国的な高揚に危機感を強め、その弱体化・排除をも組み込んだ「労使確認書」を締結したこと。

さらなる人員削減と組合活動家集団の排除などがセットの「労使確認書」

 「労使確認書」(1966年4月)には、明治乳業が、全国の工場で旺盛な組合活動を行っていた本件申立人らに対し、差別・排除の不当労働行為意思を鮮明にした、極めて重要な内容が含まれていること。
9項目からなる確認書ですが重要な柱は次の3点です。
  第一は、人員削減を計画的にさらに進める。
  第二は、労働意欲欠如者排除を明確にした。
  第三は、職分制度及び賃金体系の抜本的改正を確認した。

 この確認書を盾に会社は、申立人らに「労働意欲欠如者」のレッテルを貼り、人員削減計画と申立人らへの差別攻撃を一体にして生産ラインから排除したのです。そして、申立人ら組合活動家を市川工場では「青空部隊」、大阪工場では「応援部隊」等と呼んで隔離し、ドブ掃除や敷地内草取り、他職場応援など等、労働意欲を奪う見せしめ的な差別攻撃を続けたこと。

 さらに、職分・賃金制度の改正(1969年4月)では、人事考課成績と試験による昇給・昇格制度に改悪し、その結果、人事考課の恣意的運用によって、長期に昇格させない仕組みが制度として定着したこと。
例えば、入社して40年余の勤続で1ランクしか昇格せずに定年退職となった申立人が多数ですが、なんと、1ランクも昇格せずに新入社員と同じ最下位職分のまま、定年退職を迎えた申立人もいたこと(大阪工場)。
これら、長期に継続した仕事差別や人事考課の恣意的運用によって、申立人らを見せしめ的に差別・隔離し、再び労組活動で多数派になることを阻止する為の、制度的仕組みへの起点となったのが「労使確認書」であったこと。

会社はインフォーマル組織を主要工場で一気に結成。
昇給・昇格・仕事差別で脅し、集団帰属の踏み絵を迫り労組支部の乗っ取り右傾化を強行


 会社は、「労使確認書」締結を契機に、組合活動家らに「生産疎外者」「職場秩序破壊者」等のレッテルを貼り、排除の方針を剥き出しに、同時に、申立人らが組合執行部や支持者として頑張っていた全国の主要工場では、本社も深く関わりながら職制らを中心に「インフォーマル組織」を、1966年~1968年頃にかけて一気に結成していったこと。

各工場で作られたその実態は、

戸田橋工場(埼玉)=戸田橋民主化同志会、烏山工場(東京)=明烏一心会、
市川工場(千葉)=明朋会、静岡工場=富士見会、石川工場=明友会、
愛知工場=一水会、京都工場=都会、大阪工場=志宝会、
西宮工場=西宮民主化同志会、福岡工場=明和会などです。

 そして、申立人ら集団を「紅組」、インフォーマル組織を「白組」、どちらにも属さない者を「雑草組」と分類・分断し、人事考課評定権者であり労働組合員でもある主任(予備評定)・係長(第一次評定)らが、部下の労働者らを昇給・昇格や仕事差別などで脅し、「紅組・雑草組」から「白組」への転向を執拗に迫るなど、全国各地で申立人らを少数派に追い込む不当労働行為と差別攻撃が、2000年代にまで長期に継続してきたこと。

 本件の審査も終盤に向かう局面にありますが、申立人らの総論立証や事業所ごと個別立証の内容など、事件の全体像を注意深く精査され、典型的な不当労働行為・差別事件であることを明確にし、救済措置にむけて迅速・正確な審査指揮が発揮されることを強く要請しました。
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