母親たちが最も不安を抱いているのが牛乳だ
(サンデー毎日2011.7.31号から転載)
原産地表示の不十分さが「食への安心」を妨げている。食品衛生法で原乳の産地表示が義務付けられていないためだ。
原発事故後には、福島、茨城産の原乳から暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出され、一時出荷が制限された。現在は沈静化しているが、チェルノブイリ事故の際、子供の甲状腺ガン増加の要因として汚染牛乳が挙げられた経緯もあり、依然子供に牛乳を飲ませないという親はいる。
乳業3社の回答全文
(株)明治 (旧明治乳業)
当社では、販売する商品に使用する生乳については、各県が実施するモニタリング結果をもとに受け入れ、生産・販売を実施しております。
現在、実施されているモニタリング調査は、公的研究所、大学関係機関、財団法人などで実施されており、サンプリングのエリアおよび数量、実施機関の継続性などから、検査結果については信頼性があると判断しております。また、日常的な管理として、放射性物質を測定しておりません。自社での検査については、今後の状況を確認してから検討してまいります。
福島県で生産された生乳について、県が公表した生乳の分析結果によると、放射性ヨウ素、放射性セシウムともに、日を追って濃度が低下しており、4月26日以降は検出限界以下となっています。また福島県においては、警戒区域および計画的避難区域を除き、段階的に生乳の出荷制限は解除されており、当社は同県からの牛乳についてもモニタリングの結果に従って受け入れを行っています。同県以外の県についても同様の対応をしております。
森永乳業
国や自治体の指導により安全が確保された生乳のみが乳業会社に送られ、牛乳、乳製品が製造されています。したがって、すべての製品の安全は確保されており、製品段階での放射性物質検査は必要ないものと考えます。
今後、不測の事態や行政指導等に対応するため、必要に応じて製品段階での放射性物質を検査する体制を構築していきます。
雪印メグミルク
原料乳は、酪農家からタンクローリーで集められ、クーラーステーションと呼ばれる冷蔵保管施設にいったん保管されます。ここから乳業工場に出荷され、牛乳・乳製品が製造されます。牛乳・乳製品工場で用いられる原料乳は近くの集乳地域のものを主としておりますが、これだけでは足りないため、他県からの原料乳も用いています。
現在、原料乳につきましては、クーラーステーション単位で酪農関係者や行政が協力して、放射性物質に対する定期的なモニタリングを実施し、放射性物質が暫定規制値以下であることを確認しています。暫定規制値を超えた場合は出荷制限されることになります。
暫定規制値(飲用乳は放射性ヨウ素100㏃/㎏以下、放射性セシウム200㏃/㎏以下)は食品安全委員会により、かなり安全側に立った値であると評価されています。当社は、このモニタリング体制を適切と判断しております。まt、自社においても、当分の間、現在当社が使用している東北・関東地区の原料乳について当社分析センターで定期的に検査して、暫定規制値以下であることを確認しております。
なお、自治体で行われている原料乳に対する検査の実施状況と結果は、厚生労働省等により取りまとめられ、発表されています。福島県産の原料乳も含め、最近の検査結果では、放射性物質はほとんどが不検出と報告されております。当社では、出荷制限されていない地域の福島県の原料乳は他県の原料乳と同様に使用しております。
3社とも安全の根拠として、
自治体が実施するモニタリング(サンプル)検査の信頼性を挙げた。検査は各地域の酪農家から集めた原乳を混ぜて貯乳する地元のクーラーステーション(CS)で原則2週間に1回行う。(福島県などは週1回)。結果は公表されている。
しかし、CSに貯蔵された原乳は2日程度で工場に出荷されるため、2週間に1~2回の検査では「想定外のすり抜け」があるのではないか。
乳牛は牧草や稲わらを餌にしており「野ざらしの稲わらや汚染土壌の牧草など、餌から汚染する確率は、配合飼料などを与えられる肉牛より高い」と、畜産関係者は指摘する。
放射線医学総合研究所の白石久二雄・元内部被ばく評価室長はこう見る。
「工場製品の抜き取り調査とは訳が違います。たまたま検査したものが合格でも、他が汚染されていたら取り返しがつかない。製品になるまでに人が汚れを持ち込んだり、機械や容器を通じて汚染するなど、さまざまな可能性がある。カネや手間はかかるが、商品として市場に流通させる前後で検査するのが一番安全です。各社は商品段階での独自検査を行うべきです」と指摘する。(以上サンデー毎日2011.7.31号から転載)
(株)明治は、牛乳容器に原乳産地名なし、製造工場名は記号表示で不明であり、消費者は、なぜ隠すのかと不安と疑問を持っています。
各メーカーは、「国の基準値以下」を理由に独自の検査をしないという、検査コストなのか甚だ疑問だ。クーラーステーションに混入させる前の原料乳を単体で検査し、正確な情報の開示を直ちに行うべきです。本当に放射能の危険性を認識しているのでしょうか。「企業の存亡」に関わる大問題に発展しかねない。最大のパートナーである酪農家の将来をも展望した時、東電と国に損害賠償を求めることを視野におき、万全の対策を一刻も早くとること。改めて、各企業の社会的責任を求めたい。
(サンデー毎日2011.7.31号から転載)
原産地表示の不十分さが「食への安心」を妨げている。食品衛生法で原乳の産地表示が義務付けられていないためだ。
原発事故後には、福島、茨城産の原乳から暫定規制値を超える放射性ヨウ素が検出され、一時出荷が制限された。現在は沈静化しているが、チェルノブイリ事故の際、子供の甲状腺ガン増加の要因として汚染牛乳が挙げられた経緯もあり、依然子供に牛乳を飲ませないという親はいる。
乳業3社の回答全文
(株)明治 (旧明治乳業)
当社では、販売する商品に使用する生乳については、各県が実施するモニタリング結果をもとに受け入れ、生産・販売を実施しております。
現在、実施されているモニタリング調査は、公的研究所、大学関係機関、財団法人などで実施されており、サンプリングのエリアおよび数量、実施機関の継続性などから、検査結果については信頼性があると判断しております。また、日常的な管理として、放射性物質を測定しておりません。自社での検査については、今後の状況を確認してから検討してまいります。
福島県で生産された生乳について、県が公表した生乳の分析結果によると、放射性ヨウ素、放射性セシウムともに、日を追って濃度が低下しており、4月26日以降は検出限界以下となっています。また福島県においては、警戒区域および計画的避難区域を除き、段階的に生乳の出荷制限は解除されており、当社は同県からの牛乳についてもモニタリングの結果に従って受け入れを行っています。同県以外の県についても同様の対応をしております。
森永乳業
国や自治体の指導により安全が確保された生乳のみが乳業会社に送られ、牛乳、乳製品が製造されています。したがって、すべての製品の安全は確保されており、製品段階での放射性物質検査は必要ないものと考えます。
今後、不測の事態や行政指導等に対応するため、必要に応じて製品段階での放射性物質を検査する体制を構築していきます。
雪印メグミルク
原料乳は、酪農家からタンクローリーで集められ、クーラーステーションと呼ばれる冷蔵保管施設にいったん保管されます。ここから乳業工場に出荷され、牛乳・乳製品が製造されます。牛乳・乳製品工場で用いられる原料乳は近くの集乳地域のものを主としておりますが、これだけでは足りないため、他県からの原料乳も用いています。
現在、原料乳につきましては、クーラーステーション単位で酪農関係者や行政が協力して、放射性物質に対する定期的なモニタリングを実施し、放射性物質が暫定規制値以下であることを確認しています。暫定規制値を超えた場合は出荷制限されることになります。
暫定規制値(飲用乳は放射性ヨウ素100㏃/㎏以下、放射性セシウム200㏃/㎏以下)は食品安全委員会により、かなり安全側に立った値であると評価されています。当社は、このモニタリング体制を適切と判断しております。まt、自社においても、当分の間、現在当社が使用している東北・関東地区の原料乳について当社分析センターで定期的に検査して、暫定規制値以下であることを確認しております。
なお、自治体で行われている原料乳に対する検査の実施状況と結果は、厚生労働省等により取りまとめられ、発表されています。福島県産の原料乳も含め、最近の検査結果では、放射性物質はほとんどが不検出と報告されております。当社では、出荷制限されていない地域の福島県の原料乳は他県の原料乳と同様に使用しております。
3社とも安全の根拠として、
自治体が実施するモニタリング(サンプル)検査の信頼性を挙げた。検査は各地域の酪農家から集めた原乳を混ぜて貯乳する地元のクーラーステーション(CS)で原則2週間に1回行う。(福島県などは週1回)。結果は公表されている。
しかし、CSに貯蔵された原乳は2日程度で工場に出荷されるため、2週間に1~2回の検査では「想定外のすり抜け」があるのではないか。
乳牛は牧草や稲わらを餌にしており「野ざらしの稲わらや汚染土壌の牧草など、餌から汚染する確率は、配合飼料などを与えられる肉牛より高い」と、畜産関係者は指摘する。
放射線医学総合研究所の白石久二雄・元内部被ばく評価室長はこう見る。
「工場製品の抜き取り調査とは訳が違います。たまたま検査したものが合格でも、他が汚染されていたら取り返しがつかない。製品になるまでに人が汚れを持ち込んだり、機械や容器を通じて汚染するなど、さまざまな可能性がある。カネや手間はかかるが、商品として市場に流通させる前後で検査するのが一番安全です。各社は商品段階での独自検査を行うべきです」と指摘する。(以上サンデー毎日2011.7.31号から転載)
(株)明治は、牛乳容器に原乳産地名なし、製造工場名は記号表示で不明であり、消費者は、なぜ隠すのかと不安と疑問を持っています。
各メーカーは、「国の基準値以下」を理由に独自の検査をしないという、検査コストなのか甚だ疑問だ。クーラーステーションに混入させる前の原料乳を単体で検査し、正確な情報の開示を直ちに行うべきです。本当に放射能の危険性を認識しているのでしょうか。「企業の存亡」に関わる大問題に発展しかねない。最大のパートナーである酪農家の将来をも展望した時、東電と国に損害賠償を求めることを視野におき、万全の対策を一刻も早くとること。改めて、各企業の社会的責任を求めたい。