毎月定例として訪問活動しています社長宅、歴代社長(名誉顧問)宅へ申入書・要請書を届けてきてます。
この度、明治HD第16回株主総会(6月27日)で承認され就任しました明治HD・松田克也新社長(前株式会社明治社長)と株式会社明治・八尾文二郎新社長(前株式会社明治副社長)へ申入書を7月21日に届けました。その内容を紹介します。
2025年 7月21日
明治ホールディングス株式会社
代表取締役 社長 松田 克也 殿
神奈川県労働組合連合会
議 長 角谷 和典
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小関 守
申 入 書
松田社長、経営環境をめぐる内外情勢の厳しさが強まるなか、第16回株主総会において明治HDの社長に就任されたことに、改めて敬意を表しますと共に心からの祝意を申し上げます。
各方面から、明治グループのトップが7年ぶりに交代されたことへの期待は大きいものと推察されます。新任会見において、「過去を積極的に否定し将来に向けて挑戦する」と述べられた抱負について、私たちは長期に亘る企業活動における歪みを率直に見直す姿勢と受け止めています。
企業躍進の時期に「人間を管理していることを忘れないで」と、労組委員長が経営陣に訴えた現実
明治乳業時代の昭和30年代中頃から、酪農振興をめざす国策を背景に乳業大手3社を中心に市乳事業などの規模拡大が飛躍的に強まり、各社が競って生産集中の大型工場を建設しました。
そして、申立人らの多くは市乳事業拡大のなかで新設・増設された各工場の要員として、全国各地から高校新卒で採用されたのであり、企業躍進の重要な時期を生産現場で支えた労働者です。
しかし、事業規模拡大など急速な増設・増産体制を補うため、全国から大量採用された従業員の管理体制が追いつかず、福利厚生など労働条件の整備が後回しになる事態が続いたのです。
4月要請書で紹介の通り、昭和40年度の労組委員長が経営協議会で「会社としては生産設備のみでなく人間に対しても十分に金をかけるとともに、人間を管理しているということを忘れないでほしい」と訴え、活発になる組合活動の背景事情を説明せざるを得ない状況にあったのです。
労働争議を闘っている当事者らは、昭和30年代後半頃を中心に入社し劣悪な労働環境の中で一生懸命働きながら労働組合活動に目覚め、よりましな労働条件への改善で人間らしい働き方と生活の実現をめざし、差別されながらも定年退職まで真面目に働いてきた労働者たちです。
訴訟継続の40年だけでなく昭和40年代から60年間続いた対立抗争の全体を終結させる解決に
松田社長、先月もお伝えの通り私たちが和解解決に向け労働委員会に求めている内容は、訴訟が継続した40年間だけに留まることなく、昭和40年代初頭から異常な従業員管理の枠組みとして「赤組・白組・雑草組」に分断されるなど、一気に対立抗争が鮮明になった昭和40年代初頭から現在に至るまでの、60年間にも亘る紛争状態の全体を終結させる解決内容と水準です。
明治グループは、松田社長を委員長とする「グループ人材委員会」のもと、心身ともにイキイキと働ける企業を目指す活動に注力し、企業イメージの上でも重要な「健康経営銘柄」(経済産業省と東京証券取引所が共同で選定)に、3年連続で選ばれるなど企業として誇るべき成果です。
私たちは、新たな企業戦略としてスタートした「2026年中期経営計画」の達成に向け、企業活動上の重大リスクである労働争議の全面解決を、都労委で決裁されることを強く要請します。
以上
2025年 7月21日
株式会社 明治
代表取締役 社長 八尾 文二郎 殿
明治乳業争議支援共闘会議
議 長 松本 悟
明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団
団 長 小関 守
申 入 書
八尾社長、ご自宅の住所が確認することができず郵送での要請となることをお許し願います。
経営環境をめぐる内外情勢の厳しさが増すなか、第16回株主総会において株式会社明治の社長に就任されたことに敬意を表しますと共に、改めまして心からの祝意を申し上げます。
私たちは、貴社に「労働組合活動を理由とした昇給昇格差別」の是正を求めている、全国9事業所に在籍していた64人の争議団です。八尾社長ご自身への要請は初めてとなりますが、これまで(株)明治及び明治HDの社長及び経歴された方のご自宅に毎月定例で訪問している行動です。
これは、貴社が門戸を固く閉ざし一切の要請を拒否しているなかで、要請主旨を直接お伝えする行動として長期に継続しています。突然の郵送で恐縮ですがご理解をお願い申し上げます。
40年の異常な長期労働争議ですが、いま都労委において解決への重要局面を迎えています。
私たちは島村社長時代(昭和60年)から6代目の八尾社長(令和7年)まで40年を闘い抜きました
争議を振り返ると、市川工場事件申立(昭和60年4月)は島村靖三社長の時代であり、その後、中山悠社長 → 浅野茂太郎社長 → 川村和夫社長 → 松田克也社長 → そして八尾社長と、40年争議のなかで6代目の社長になりますが、私たちは40年に及ぶ年月を乗り越えてきました。
これまでの労働委員会や司法判断では、先行した両事件の「単年度審査に基づく判断の枠組み」により救済されることなく、この単年度審査の枠組みが中労委や司法の場でも維持され最高裁で確定するに至りました。しかし、同時期に争われた大企業差別争議の多くは「併合審査を前提とした判断」で、ほぼ全ての事件が救済命令や判決に基づき和解解決で早期に終結しているのです。
本件でも、これまで審査・審理の到達点を踏まえ労働委員会や司法の場で、何度も和解解決を促す指揮がありましたが、貴社の極めて頑なな姿勢により異常な長期争議になっています。しかし、いま都労委を舞台に長期化し膠着状態と言える争議の全面解決に向けた指揮が続いています。
公益委員は長期争議の厳しい現実と審査の到達点に基づき、和解解決への道筋を目指しています
私たちは都労委審査において、先行事件での単年度審査に基づく判断は、年度を超えて継続する不当労働行為事件の審査方法として誤りであると主張し、全事件の併合審査を実現しました。
そして、最高裁で確定した先行事件(市川工場事件2年分3件、全国事件1年分1件)の判断の枠組みでは明らかにならなかった、年度を超えて累積しながら拡大する格差の実態など、長期に継続した不当労働行為の全体像を鮮明にし、新たな到達点を切り拓いたものと確信しています。
公益委員は、40年を超える異常な長期争議による申立人ら集団の高齢化や、審査の到達点を踏まえた上で和解解決への可能性を追及するなど、争議終結への指揮を目指しています。
八尾社長、事件の背景は昭和40年代からの異常な対立抗争であり、社長には直接的に関わりのない時代の企業活動の「負の遺産」です。しかし、継続する企業活動の問題として現経営陣に対応が求められる課題であり、都労委において全面解決することへの英断を心から要請します。
以上