明治乳業争議団(blog)

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明治HD第10回株主総会(6月27日)を節目に長期争議解決求め申入れ・座り込み宣伝を実施

2019年07月13日 10時50分33秒 | お知らせ

第42次座り込み行動 6月25日 12時~13時

第41次座り込み行動(5月28~29日)実施までは、延べ62日間、1,117団体、2,365人、87時間の継続行動を踏まえて、第42次座り込み行動が18団体44名参加の中で、株式会社明治・松田克也社長と明治HD・川村和夫社長に争議解決への申入れを行いました。

 株式会社明治受付では、関係部署に電話を入れていただきましたが、担当者が行かれないとの回答が有りましたので、総務にお渡しいただきますと受付嬢に話すと、「ハイお預かりします」ということが始めて有りました。大変な変化と捉えますが、第43次での申入れ(7月25日)でも受け取ってくれるかを注目していきたいと考えます。

しかし、親会社明治HD受付は、とりつく島なし担当部署にも連絡を入れない姿勢を取らせています。

 話し合いを求める、明乳争議支援共闘会議・松本議長

運動の再開とJAL株主総会の報告、JAL客乗争議団・杉山副団長

松蔭学園争議解決後、東京争議団サポター・寺島さん

(株)明治と明治HDへの申入れ報告の金融労連・大谷さん

争議団・松下副団長から参加者へのお礼と解決に向けた決意

 【株式会社明治・松田克也社長への申入書を公開します】

                           2019年 6月25日

  株式会社 明治 代表取締役 社長 松田 克也 殿

                         明治乳業争議支援共闘会議

                          議 長  松本  悟

                        明治乳業賃金昇格差別撤廃争議団

                          団 長  小関  守 

       申 入 書

━━ 松田社長、「第10回株主総会」を節目に当事者企業の経営判断を強く求めます

争議解決への道筋を拓くため、今期は「事前質問書」・「議場発言」を控えます ━━

 はじめに

 松田社長、私たちは明治グループにとって今期「株主総会」は、極めて重要な節目となる総会だと受け止めています。明治HDの当期経営状況は、売上高は 1兆2,543億80百万円(前期比 1、1%増)、営業利益は983億83百万円 (同 3、9%増)、経常利益は 997億9百万円(同 4、0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は618億68百万円(同 1、0%増)です。しかし、食品部門の(株)明治は、売上高は前期を下回り、営業利益は、前期並みと低迷しています。報道では、「かねて、業績の牽引役だった機能性ヨーグルトやチョコレート等がそろって苦戦している」(日経2018年8月7日付け)等と指摘しますが、例えば、スナック菓子「カール」など根強い消費者の嗜好を無視して、お菓子商品群を半減させた川村社長ら経営陣の、強引な施策に対する消費者の反感も背景にあるのは明らかです。また、日経は「明治ホールディングスが13日発表した2019年3月期の連結純利益は、前期比1%増の618億円だった。血液製剤をめぐる不正が発覚した化学及血清療法研究所(化血研、熊本市)の医薬品事業を、新会社を通じて18年7月に傘下におさめ、インフルエンザ向けワクチンの販売が増えた。力を入れてきた機能性を高めたヨーグルトでは競争が激しくなり、売り上げが減った」(5月13日付け)と報じました。

 今期、株主総会の最大の問題点は、「経営統合」後の「相乗効果」がいまだに発揮されていないことではないでしょうか。公約である2020年度売り上げ目標(1兆5000億円)は放棄され、2020年売り上げ目標(1兆3500億円)に減額されましたが、これも達成は絶望的に見えます。統合時に「世界的な食品メーカーに飛躍したい」と公約しましたが、中国から粉ミルク事業を撤退するなど低迷したままです。「積み残された課題がグローバル化だ。明治HDの海外売上高比率は約7%。屋台骨の食品事業の海外売上高比率は4%過ぎず、二桁に乗るカルビーなどとの差が大きい。悲願のグローバル化には、川村氏が率いる食品事業の奮起が欠かせない(2018年5月11日 日経)」と指摘されています。しかし、海外戦略の具体的方針は提示されていません。株価も昨年暮れには、1万円越えをしていましたが、現在は7000円台まで下落するなど低迷しています。

株主総会を目前に控える今回の要請では、課題を率直に指摘し改善を求めます。

(1) 致命的な「3つの異常企業体質」、その背景に人権否定の長期労働争議の存在

 (株)明治の経営の低迷原因は、旧明治乳業時代から続く、3つの異常(①2000年以降にマスコミ報道された主な食品事故が36件。②42年間に死亡事故7件も発生。③56年間に労働争議12件)など、およそ命と健康を担う食品企業としては致命的な体質にあります。そして、異常企業体質の象徴的存在として34年も経過する「差別・人権侵害」の労働争議が、古い時代からの「負の遺産」として未解決のままとなっています。現在、食品企業の就職人気で、明治グループが総合順位3位、食品部門では1位ですが、「三つの異常企業体質」などグループ全体の体質が明らかになるならば、就職人気は一気に下落すると思われます。

※ 一昨年、国会で追及された(株)明治の異常企業体質を象徴する二つの事件

①  「学校給食用牛乳異臭事件」への不誠実な対応で露呈した企業体質の異常

 1900人もの児童・教員らが異常を訴え、嘔吐や下痢の症状などで病院に搬送される児童も発生した「学校給食用牛乳異臭事件」で、原因について(株)明治は一貫して「乳牛の飼育環境や餌」に求め、さらに、子供たちの「敏感な味覚」にすり替えるなど、学校関係者や新宿・板橋区議会からは納得が得られるどころか、その説明に不信と怒りが広がる結果となっています。そして、(株)明治の繰り返される不誠実な対応に対し、新宿区議会は「明治の説明が納得できない」として、全会一致で新年度から(株)明治の学乳をボイコットし、他メーカーに切り替えました。

 この問題は、参議院「消費者問題特別委員会」(昨年、4月13日)で、山添拓議員(日本共産党)が「異味異臭の原因は特定されたのか」と問い質したのに対し、厚労省は「異臭の原因は特定されなかった」と答弁しました。厚労省も原因の特定を否定しているのに、(株)明治は「再発防止策」として、「生産者団体に対して原料供給元における風味の管理強化を要請し、生乳の品質向上につなげてまいります」等と、製造ラインでの牛乳瓶などの消毒に使用する塩素剤混入の可能性の一切を否定し、一貫して生乳生産地の飼育環境など外部に原因と責任を転嫁したままです。

 ② 「高カカオチョコで脳の若返り効果」とする欺まん的誇大宣伝に批判が殺到

 (株)明治は、内閣府との共同研究の初期段階である一昨年1月(バレンタイン商戦)に「カカオ成分の多いチョコを4週間食べると、大脳皮質の容積を増やし、学習効果を高める(脳が若返る)可能性がある」等と記者発表し、爆発的に販売量をのばし大きく利益を上げました。しかし、被験者30人だけのデータで、摂取しない集団との比較検証も、論文発表もない杜撰な研究内容の発表に、多くの学者や研究者から異議と抗議が殺到し、内閣府は再検証に追い込まれ3月に検証結果を発表しました。検証委員会から、杜撰な研究内容が指摘され、マスコミ各紙も「根拠乏しく発表勇み足」等と厳しく批判しました。内閣府は、被験者を増やしての比較検証など追試する方針ですが、「明治との共同研究は中止」と発表しました。明治には、消費者を騙したことに対し、記者会見をして謝罪と再発防止策が求められています。

 (2) マスコミ報道でも「異常企業体質」の告発が止みません

 最近の上記2事例を通して、(株)明治の異常企業体質の一端を述べましたが、明治乳業時代から企業内に蔓延している「三つの異常体質」の実態は、生命と健康を担う食品企業の社会的責任に照らすならば、致命的な欠陥体質と言わざるを得ません。マスコミが明治の異常企業体質を厳しく告発する報道も、これまで数多くありました。最近では、「『明治R―1』がTBS系番組でステマ疑惑。『2千万円は明治から』放送作家音声データ公開」と週刊文春(2018・4・26)が報道しました。さらに、月刊誌ZAITEN(7月号)は、「学校給食用牛乳異臭事件」や「高カカオチョコで『脳の若返り』」の誇大広告などを問題視し、「『ただ儲かればいい』理念は食品メーカーとして失格だ」、「明治ホールディングス、議会で糾弾された異常体質」と厳しく指摘し、繰り返される不祥事の背景として企業体質を告発する等、まさに、「労働争議が解決できない企業は疲弊する」と言う、ジンクスどおりの展開になっています。

 (3) 東京オリ・パラ商戦の成功には「世界に通用する人権感覚」が求められます

 (株)明治は、東京2020オリンピック・パラリンピック組織委員会と、ゴールドパートナーシップ契約を締結し、大会参加者らへの食材提供企業になりました。すでに、「明治チョコスナック たけのこの里」等に「東京2020ゴールドパートナー」のシールが貼られ販売されています。しかし、組織委員会は、大会成功に必要な物品やサービス等を調達する基準として、持続可能性を十分に考慮した調達を行うことを前提に、「 持続可能性に配慮した調達コード(以下、「調達コード」という)」を策定し、国際労働機関(ILO)とパートナーシップに関する覚書を締結しました。そして、「職場における差別の禁止」など、ILOが定める国際労働基準の尊重をサプライヤーに求めています。私たちは組織委員会に対し一昨年12月から、(株)明治の企業体質に関する情報提供を行うとともに、国際オリンピック委員会 (IOC) トーマス・バッハ会長にも情報提供を行い次の二点を要請しています。

①    「調達コード」に基づき(株)明治の企業体質を正確に把握したうえで対応すること。

②    賃金・昇格や仕事などでの労働者差別(労働争議)のない、健全な企業体質を資材調達契約の前提とすること。

 (4) 松田社長、さらに労働争議を継続すべき大義も道理も無くなっています

 貴社及び明治HDは、労働争議に関する電話の取り次ぎも要請書の受取などの一切を拒否し、都労委、中労委、東京地裁・高裁の和解提案も頑なに拒否する異常な対応をしています。 そして、株主総会では「差別も不当労働行為もないとの判断を頂いています」、今後も「第三者機関の判断に従います」等と答弁し、一切の話合いを拒み続けています。

 ①   「和解」への道筋を示した中労委命令を契機に情勢は大きく変化しました

 明治乳業「全国事件」への中労委命令(2017年1月11日)により、情勢は大きく変わりました。命令は、除斥期間(労組法27条2項)を理由に主文「棄却」としたものの、明治乳業による「差別・不当労働行為」の事実を随所で認定・判断するなど、画期的な内容でした。特に、異例にも「付言」を命令文の中に特記し、会社が申立人らに行った卑劣な行為や誹謗中傷は「非難を免れ得ない」と断罪。そして、職分・賃金格差が存在していたことは、「紛れもない事実」と明確に認定するなど、市川工場事件の申立人らも含めた集団に対する、歴史的事実として(株)明治を断罪しました。その上で、紛争当事者の物心の損失は大きいと指摘し、「当事者双方の互譲による合意をもって紛争の全面解決をめざすべきことは自明の理である」と強く明記し、長期化し深刻化した紛争を早期に解決する道筋を示したのです。「付言」の最後では、「殊に会社に対して、より大局的見地に立った判断が強く期待される」と強調しています。私たちは、国が所轄する中央労働委員会の提起を受け入れることは、社内的には勿論のこと多くの株主にも「大義ある判断」として、受け入れられるものと確信します。

 ②  中労委命令「付言」の内容は、東京地裁の訴訟指揮でも重視されました

 東京地裁民事19部 春名裁判長も、中労委命令の「付言」を重く受け止め、原告、被告、参加人の主張・反論書面を踏まえた上で、一昨年10月2日の進行協議において「和解勧告」を行いました。しかし、(株)明治は代理人を通して裁判長の二度に及ぶ和解に向けた意思確認に対し、「応じられない」と異常なまでに頑なな姿勢を貫くなど、「第三者機関の判断に従います」との株主総会答弁をも反故にし、司法判断として提起された「和解勧告」を、持ち帰って検討することもなく拒否しています。

 (5)総会での形式的答弁を避け、解決への道筋を拓く覚悟として総会対応を控えます

 多く争われた明治乳業事件と同種の大企業争議は、すでに全ての事件が「和解」で円満解決しました。(株)明治は、事件の全体像を正確に認定・判断しなかった労働委員会や、司法判断を拠り所に解決への門戸を閉ざしてきましたが、前途の情勢に照らしても、さらに争議を継続すべき大義も道理もないものと私たちは確信しています。

 この確信を拠り所に、例年実施している株主総会への「事前質問書」及び「議場発言」について、今期「第10回明治HD株主総会」に対しては控えることにします。その理由は、今期「株主総会」は前途の通り、明治HDを取り巻く経営環境においても、労働争議の状況と到達点から判断しても、双方が真摯にむき合うことができるならば、必ず円満に終結の道筋に到達できると確信していることです。また、株主総会において質疑が尽くされることなく、争議解決を否定する形式的答弁に終始することが、この道筋を切り拓くうえで否定的な影響を与えると判断するからです。

 東京高裁での局面を通して、全面解決への道筋をめざす私たちの本気度を経営陣に伝える覚悟の一つとして、「事前質問書」及び「議場発言」を控えるということです。勿論、これは「運動の自粛」を意味するものではなく、会社の対応によっては全面解決に向けた運動を、さらに拡大せざるを得ないことも念頭に置いた上での決断です。

 松田社長、異常な長期労働争議の全面解決に向けた、私たちの真意を汲み取って頂き、当事者企業として「負の遺産」の清算に向けた経営判断を強く求めます。

以上

 

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