海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

自民党の大勝についての英国『ガーディアン』紙の記事。

2005年09月12日 | 日本の政治と経済
タイトル:「最後のサムライは、政治を変革できた。」と題するサイモン・ティスドール記者の9月12日付けの記事です。
 小泉純一郎は、日本政治の「スドク・パズル」である。何も加わるようには見えない。だが、どういうわけか、最後にはうまく行くのだ。だが、昨日の衆議院議員選挙の地滑り的勝利は、彼を戦後最も長く政権を握った首相の候補にした。彼はポップ音楽のアイドルのように扱われ、「ライオン・キング」というあだ名が付いている。だが、彼の禁欲的な生活スタイルは、最後のサムライに似ている。
2001年に首相の座に着いて以来、小泉氏は、政治改革を行うのに失敗した。だが、郵政民営化法案が自民党内の反乱者によって参議院で否決された後で公示された選挙で彼は空前の改革の信任を得た。英国の用語を使うなら、これは「第四条項運動」である。そして、それは日本の政治を恒久的に変えることができた。
「小泉は、見破れない人物だ」とウオーウイック大学のクリストファー・ヒューズは言う。「だが、基本的に彼は彼自身の党の中の既得権や攻撃し、地元に利益をもたらす政策を止めることに関心をもつ政治改革者だ。」
「彼は自分の政治生命を犠牲にする危険を冒すほど、それについて真剣だ。多分チョッピリサムライだが、もっと『特攻隊』に似ている。『特攻隊』とは、文字通りには、炎の中に飛び込む覚悟のある『特別攻撃隊』のことだ。これが彼を非常にただならぬ政治家にしている」とヒューズは言った。
小泉氏は、現在、「大きな政府」を縮小する計画を加速し、自由市場政策を拡大し、年金を改革し、老齢化に対する健康保険を改革するだろうと期待されている。日本の戦後の社会契約を用いた潜在的な対立が、自民党をイデオロギー的に分裂させ、政治勢力の再編成をもたらした。
しかし、行政権力を常に集中することによって、小泉氏は、仕事のための道具を持っていると京都大学のマチドリ・サトシは、「ジャパン・エコー」の中で述べた。トニー・ブレアのように、彼は「大統領風の首相」として知られている。
小泉氏の再選は、海外でも波紋を呼ぶだろう。中国と韓国は、彼の在職中に緊張が高まったので、彼の成功を歓迎しないだろう。「彼は実際はナショナリストではない。だが、彼は日本が大きな力として扱われることを望んでいる」とヒューズ教授は言う。「彼は反中国であることに関心はない。だが、私は彼が恐らく再び靖国神社を参拝するだろうと思う。」日本の戦時中の死者に対する参拝は、ペキンから猛然たる抗議を呼び起こした。
だが、日本がもっと広い地域の安全保障で大きな役割をはたすことを望んでいるワシントンは、この結果に喜んでいる。小泉氏は、ジョージ・ブッシュの再選を公然と支持し、イラクに非戦闘部隊を送った。
「小泉は、日本を普通の軍事力に変えるように憲法を改正すること、日本が米国あるいは台湾のような他の国をたすけることができることを意味する集団的自衛を可能にする新しい法律を支持している」とヒューズは言った。これは潜在的に国内においても海外においても爆発的である。
けれども、最後までパラドクシカルであるので、小泉氏は、彼の総裁の任期が切れる来年九月には、首相を辞任する。彼は規則を変えることはできるが、彼はそうしないだろうとこれまで言い張ってきた。これまた、小泉の謎の中の無数のパズルの一つだ。
[訳者のコメント]小泉首相は、海外の論調でも、かなり謎めいた人物だと受け取られているようです。さて後一年の任期中に果たして日本の政治はどうなるのか、国民としては非常に気になるところです。
コメント (2)
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