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彼が国務長官を辞めてからずいぶん時間が経った。だが、彼は今なお世界政治の最古参
である。彼と同じくらいの世界的な名声をもった人間は少ない。それは、彼が移住したドイツ系ユダヤ人として米国の政府閣僚になり、世界政治を行ったという事実に負っている。
最近、彼は「ロシアについての月並みでない考え方」という題で論文を書き、モスクワを訪問した後、その中で、メドヴェージェフとプーチンとの二頭立て政府の力学を論じた。ロシア政治のわかりにくさが彼を引きつけている。すべてが演出されたとしても、時間とともに新しい現実が作られるだろうというのが彼のテーゼである。
ロシア人の世界観に対して、敏感さを示さなければならない。ウクライナとグルジャのNATO加盟問題は、キッシンジャーにとっては、あまりに機械的である。現在、彼はそれをしないように西欧諸国に忠告している。ウクライナを外国だと認めるには、ロシアには時間が必要だ。同様に、中国がチベット問題を香港返還のときのように扱うことができるには、時間が必要だ。キッシンジャーにとっては、時間は重要な尺度である。誰が良い政治家であり、誰がそうでないか、誰がビジョンを持ち、国際的秩序に対して基本的なことを貢献できるか、できないかを知るには時間が必要だ。
彼は火曜日にはイタリアにおり、水曜日にはベルリンのアクセル・シュプリンガー出版社の客となった。ここで三度目に、ドイツと世界について議論するために。人々が集まるのは、彼らがキッシンジャーの重要さと賢明さを感じるからだ。それはサッカーのような日常的な物事にも向けられる。彼はウイーンでヨーロッパ選手権試合を見、ドイツ・チーム
の規律を知っている。それがスベイン・チームのファンタジーに負けたのだ。
しばしば、彼は中国やインドも訪問している。「自分たちはよりよい未来へと動いているのだ」という人々の信じがたい確信に引きつけられて。それは、今日のヨーロッパには欠けていると彼は残念がる。この世界で、ただの見物人であり、国民を未来の問題へと元気づける力がないこと、国民に彼らにふさわしい犠牲を要求する力がないこと、これがヨーロッパの欠点だ。その代わりにいつも柔らかい外交ばかりやっている。ヨーロッパを指導する偉大な人物の時代は過ぎた。他の形成力を展開した強力な国民国家の時代は過ぎた。「私はドイツを批判するために来たのではありません。あなたもご存じのように、私はメルケル首相のプラグマチズムと合理性を高く評価しています。」その上、彼は大連率が壊れないように、彼女により多くの柔軟性を希望した。(以下省略)
[訳者の感想]キッシンジャーはまだ元気なようです。シュプリンガー出版社は、新聞『ヴェルト』紙を発行しています。今の社主は誰か私は知りません。
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