海外のニュースより

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「クレオパトラが見つかったと嘘をついた人は多い」と題する『ヴェルト・オンライン』の記事。

2009年04月22日 | 人物
9年前、ベルリンで新しい発見が展示された。それは、エジプト女王クレオパトラのひょっとしたら直筆のサインが書かれたパピルスだった。もし、彼女の手つかずの墓が明るみに出たら、どれほど大きな注目を浴びるかは、想像に難くない。もし、そこに、彼女の愛人だったマルクス・アントニウスの遺骨が見つかったら、それは世界的なセンセーションを巻き起こすだろう。
そういう希望を掻き立てているのは、他ならぬザヒ・ハワス博士である。このエジプト古代管理局の有力であると同時に策動的な長官は、かれの最新のプロジェクトをだからこそ、それにふさわしく演出している。「私たちは、墓地を手つかずで見つけるだろうと期待している」と彼はメディア受けする仕方で述べた。「世紀の最大の発見になるはず」の探索はすぐにも始まる予定だ。
それまでは、勿論まだ、少し時間がかかる。なぜならば、われわれの空想を掻き立てる墓は、アレクサンドリアの西方、50キロの丘の上にあるある神殿の地下、24メートルのところにあるからだ。現代の装置を使うと、地下70メートルまでレントゲンが届くそうだ。どこかそこらに、複雑なトンネルシステムが存在しているとドミニカ共和国出身の女性考古学者キャスリン・マルチネスは確信している。彼女のチームは、三箇所にシャベルで掘ろうとしている。
3年前から彼女はタポシリス・マグナの神殿で掘っている。出土品は、ミイラ10体とクレオパトラの肖像が彫られたコインが22枚、マルクス・アントニウスを表現していると見られる面が一つである。これらが考古学者に伝説的な恋人達の痕跡にたどり着いたと思わせた。
その上、この紀元前3世紀に建てられた神殿は、イシス女神に捧げられている。エジプトの神話では、この女神は、彼女の殺された夫オシリスを生き返らせた。クレオパトラは、生きているときに、彼女の臣下に対して、自分はイシス神の化身であると主張したから、この多産の神の神殿は、彼女の永遠の休息場所にふさわしい。
しかし、公衆に働きかける期待の背後には、方法上の大きな問題が隠れている。というのは、期待された発掘物は、歴史的記録によれば、まったくここには存在しないかもしれないからだ。だって、最も重要な年代記作者や歴史家は、一致して、クレオパトラは、アレクサンドリアで埋葬され、アントニウスは、そのそばに埋められてと伝えているのだから。もし、タポシリス・マグナの発掘によって、クレオパトラの遺骸が暴かれれば、歴史研究の方法上の足場を揺るがせるような仕方で、それはわれわれの証人を笑いものにするだろう。(以下省略)
[訳者の感想]ザヒ・ハワス博士は、テレビでわれわれにもおなじみになりました。先日も、ここにクレオパトラの墓があるに違いないと自信たっぷりでしたが・・・。
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