海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「小泉首相、改革の支持を得ようとして選挙を要求する」と題する『ワシントン・ポスト』紙の記事。

2005年08月09日 | 日本の政治と経済
8月8日、東京発:日本の小泉純一郎首相は、月曜日、世界第二の経済の速やかな改革に対する支持を得ようと努力して、衆議院を解散し、9月11日の選挙を要求することによって、自分の職務を危険に曝した。
この動きは、与党の代議士が、小泉の経済改革十字軍のメイン・テーマを効果的にブロックすることによって、日本の巨大な郵政事業を民営化する首相の企てに反旗を翻した後で起こった。この決定は、小泉の4年半の行政に対する信頼を公的投票に置くと同時に、第二次大戦以来殆どの時代日本を統治してきた自由民主党を作り直す彼の努力に対する信任を問うものとなる。
アジアにおけるブッシュ政府の最も親密な同盟者であり、1980年代以来、最も永く首相の座にある小泉は、与党が選挙で負ければ、首相の座から降りるだろうと言った。
彼の敗北は、野党の民主党に政権を譲ることになるだろう。民主党は、イラクにおけるアメリカの軍事的努力に対する小泉の支持に反対しており、沖縄からアメリカ海兵隊を引き上げるように要求している。
アナリストによると、自称一匹狼である小泉は、彼を特徴付ける向こう見ずな政治に従事している。最終的に初めから彼の改革に強力に抵抗してきた党内の反対派を粉砕することを可能にするために、彼は公衆が彼の改革を志向している自由民主党員の候補者を支持することを期待して彼の政治生命を賭けている。権力闘争は、参議院自由民主党の大きな派閥が彼の郵政民営化法案に対して反乱を起こした後で、山場を迎えた。
日本の郵便局の網は、何百万もの人の300兆円以上の預金高を有する世界最大の銀行を形成している。何十年も、自由民主党の政治家は、それを金のかかる建設費や選挙区の票を獲得するのに役立つ政府補助金を導入するための裏ドアとして利用してきた。だが、このシステムは、経済に対する障害物として役だった。
小泉は、14年間の経済的スランプの後で日本を上昇させる唯一の道は、日本の大量の官僚政治を打破すること、特に郵政事業を改革することであると主張した。月曜日に、彼は日本の支配政党の内部からの変化を強制する彼の公約を果たすために、登場した。
「四年前、私は自民党を変えるだろう。もしそれが変わらなければ、それをぶっ壊すだろうと言った」と記者たちに語った。
合意政治が長い間通例であったこの国で、ウエーブのかかった髪をした63才の小泉は、2001年4月、日本の政治的恐竜をやっつけると誓って、政権を握った。彼は国民的アイドルとなり、ロックスターのごとく人気があった。だが、それ以来、大衆の彼に対する支持は、退潮している。多くの人は、彼は約束に対してナマケモノのような前進をしただけだと考えている。アナリストたちは、小泉が40%の支持率を記録する世論調査にかけているように見えると言う。この支持率は、自民党や民主党に対する支持率よりも遥かに高い。
小泉のタフなアプローチは、自民党をひどく分裂させた。彼は自分の民営化案に同調するように党員にものすごい圧力をかけた。民営化案は、先月、衆議院で、僅差の賛成を得た。このとき法案に賛成した一議員は、派閥の仲間から言葉で攻撃されて、投票したあとで自殺した。
ある小泉の批判者は、彼の将軍スタイルと月曜日に法案に反対の投票が多い場合には、衆議院を解散するぞという彼の脅しを引用した。彼は衆議院解散の署名を拒否した島村農水相を罷免した。
小泉は、彼の改革案に反対の投票をしたすべての自民党議員を推薦しないと決めた。これは彼を支持する人たちだけが選ばれることを確実にすることができるだろうが、支持しない議員は、いまや公然と自民党からの脱党を議論している。
「四年半の間、彼は党首としての彼自身の立場と彼の改革に対する党の反対者との間の矛盾を保ちつづけたが、ついにこの矛盾が爆発した」と「政治的PRのためのセンター」の代表者である宮川タカヨシは言った。
小泉が、衆議院を解散した理由は、日本の首相は、参議院を解散する権利がないからである。そして、彼の計算によれば、もし世論が彼を支持すれば、参議院は法案に賛成するだろう。
しかし、1993年にも自民党は党の分裂によって、短期間政権を失った。しかし、日本の多党制度では、民主党は実行可能な交替政党として現れる。民主党が自民党と交替したとしても、アナリストによれば、彼らは、連立政府を作るためには、いくつかのより小さな政党とのパートナーシップを必要とするだろう。
切り札を持つのは日本の公衆である。世論調査は、多くの人が小泉の複雑な郵政民営化案を十分に理解していないことを示している。自民党の地盤である地方の郵便局は、遠隔の局は閉鎖され、重要なサービスができなくなることを恐れている。それは、小泉の弱点である。
小泉は、疎外された保守派の支持を取り戻そうとするかもしれない。月曜日に彼は死刑判決を受けた戦争犯罪人を含む日本の英霊に敬意を表するために靖国神社に参拝することを示唆した。彼の過去の参拝は、日本に侵略された中国と韓国を憤激させた。しかし、今度の参拝によって、彼は日本の右翼の間にある重要な支持をとりもどすかもしれない。
[訳者の感想]日本の政治について、アメリカの一流紙がどのような報道をしているかに興味があったので、訳しました。アンソニー・ファイオラという記者の書いた記事です。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ポール・クルーグマンのネオ... | トップ | 「アメリカ代表団、北朝鮮と... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本の政治と経済」カテゴリの最新記事