海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

がっかりした「小泉世代」と題する『フランクフルター・アルゲマイネ』紙の記事。

2007年07月29日 | 日本の政治と経済
新聞の見出しで方向を見つけようとすると、安部晋三に対する政治的追悼文を書くことから始めなければならないだろう。ほとんどすべての世論研究者は、日曜日に行われる参議院議員選挙においてかなりの敗北を被るだろうと言っている。それと結びつくのは、彼の党が首相に退陣を迫るだろうという予想である。
しかし、関連する記事をもっと立ち入って読むと、世論研究者たちもそれほど自信を持っているわけではない。確かに、安部政権は、選挙民の大部分のところで、不人気である。しかし、潜在的な選挙民の大部分は、まだ、誰に一票を投じるか決めていないし、およそ選挙に出かけるかどうかも決めていないのだ。それゆえ、日曜までにはまだ多くのことが起こる可能性がある。
 他方で、与党の自由民主党には、ある神経質さがあることは見逃せない。そのことは、いくつかの事柄から明らかである。そういうわけで、塩崎官房長官は、自民党の敗北を喜ぶのは北朝鮮だろうと最近述べた。ついでに言うと、首相はいかなる場合も退陣しないだろう。これは自民党もそう見ている。この点ではしかし、他の意見もある。安部の後任は、麻生外相が挙げられているが、彼は当然、公式にはそんなんことは全く知らないと主張している。
 選挙の結果がどうなろうと、安部にとって、辞任しなければならないという必要性は、存在しない。なぜならば、彼はもう一つの国会のより強力な議院である衆議院によって選ばれたからである。衆議院では、彼はしっかりした多数派を持っている。自民党が、その連立与党の公明党とともに、参議院の121名の改選議員のうち、64名を手に入れれば、一切は元通りである。この場合には、連立与党は、参議院でも多数派を持つことになる。
 だが、そうなる可能性は少ない。安部の将来についての多くの意見では、44名というのは運命の数字である。つまり、自民党は、1998年に44議席を手に入れた。そのすぐ後、当時の橋本龍太郎首相は、辞職した。現在似たような結果が予想されている。ひょっとしたらもっと悪いかもしれない。
 皮肉なことに、安部は、国民の中でもっともしなければならない問題に対して責任がない。つまり、何十年も前にすでに、5000万人の年金保険金が間違って記載するという間違いが犯された。それは、年金支払者カードをコンピューターに転記する際に起こった。
この話が話題になったのは、今年の春である。安部政権は、一生懸命、事務員を動員しようとし、すべてが解明されるだろうと約束した。だが、それは、きわどい約束だといわねばなるまい。なぜならば、何十年も経って、保険金支払いの経過を厳密にたどることは、非常に困難であるからだ。
年金保険支払者たちは、本当に歯ぎしりした。だが、政治的な怒りが爆発し、怒りは安部に注がれた。彼は責任を引き受け、彼の前の何十代もの政府の怠慢のせいにはしなかった。そんなことをすれば、たぶん、彼にとってもっと具合は悪くなっただろう。なぜなら、自民党は、短い中断をのぞいて、50年以上も政権を握ってきたからである。(以下省略)
[訳者の感想]フランクフルター・アルゲマイネ紙のペーター・シュトルム記者の書いた記事です。かなり正確な記事だと思います。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「すべてのタリバンがテロリ... | トップ | 「参院選大敗北にもかかわら... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

日本の政治と経済」カテゴリの最新記事