海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「テロ時代のイラクの経済復興」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年01月04日 | イラク問題
テヘラン発:機能する経済は、安定したイラクにとって本質的な前提であるという点では、すべての専門家が一致している。安定した状態からはほど遠いが、テロと失敗した経済と汚職の彼方でこの国の一部では、サダム・フセインの統治下では夢にしか見られなかった新たな現実が生まれつつある。それらの地域は、金があり商品は山のようにある。十分に企業家精神を持った者は、あらゆる障害にもかかわらず、急速に金持ちになることができる。
特に治安状態があまり深刻でない、シーア派信者地域やクルド人地域では、劇的なブームが見られる。町から町へ、村から村へとこの国は新たな生活へと目覚めている。毎日、約10の新しい会社が創設され、国家の管理領域と並んで、既に35万7千の私的企業が存在する。給与は、サダム時代よりも20倍ぐらい多い。国家管理の領域では、給与は、去年だけで30%も増加した。今年はさらに30%ぐらい増加するだろう。具体的には相変わらず平均給与は数百ドルであるが、多くの家族の生活には十分である。中国製の娯楽用の家電は、需要が多い。同様に、家具や家財道具も存在している。
イラクの国家もかなりの手段を確保している。イラクの国家は、昨年、400億ドルの石油収入で記録を達成した。その上、米国が戦後に再建計画のために準備した200億ドルのかなりの部分や、他の貸与国の金融援助や、湾岸国からの投資が加わる。イラク北部のクルド人居住地域では、建築業は、隆盛している。オーストリア航空は、そこで定期便を運行している。オランダやノルウエーの会社は、クルド地域に投資している。レバノンの石油会社は、30億ドルで新しい精油所を計画している。ナジャフやカルバラのシーア派の巡礼都市では、経済は、毎年の参詣で利益を得ている。イラク南部のバスラや小さな港湾都市であるウム・カスルでは、港が新たな繁栄の源になっている。
テロで痛めつけられたスンニー派の三角地帯では、情勢は余りバラ色ではないが、そこでも生活が以前よりも良くなっているところがある。2004年の戦闘でファルージャは、殆ど完全に破壊された。しかし、米軍は市民にかなり寛大に損害補償を行った。ファルージャには新しい住宅が建ち並び、比較的繁栄した島になっている。アメリカ人たちは、サダムの故郷であるティクリトには集中的に投資をした。その結果、ティクリトは、相対的に豊かに、相対的に平穏になった。ここでは、他のスンニー派居住地域よりも、アメリカ軍やイラク治安部隊に対する攻撃が少ない。
乱脈財政や汚職は、イラクデは、目下解決不可能に見える問題である。だが、経済成長はそれによってブレーキをかけられていない。だまし取った金は経済流通に流れ込んでいる。それらは会社設立のための資本金として役立ち、消費財の需要を強めている。
最後に、新たな繁栄はベビーブームと並行して現れている。戦争とテロにもかかわらず、イラクでは、昨年、1000人につき37人の赤ん坊が生まれた。2003年には1000人につき29人だった。隣国イランでは、1000人につき21人しか新生児が生まれていない。
この最初の成功を継続することは、大きな挑戦であるだろう。高い石油収入は、産出量や輸出量の減少にもかかわらず、得られた。石油産業に対する恒久的なテロ攻撃の結果、輸送量や輸出は相変わらずサダム統治時代よりも少ない。石油価格の上昇が、強力な収入を保障した。しかし、市場では、石油は次第に安くなっている。国際的な援助計画も次第に終わりに近づいている。特にアメリカからの援助資金は、2007年には大部分なくなるだろう。
[訳者の感想]イラクはテロに継ぐテロで、経済復興は、遅れているだろうと思っていましたが、この記事によると、部分的には経済的にかなりましになっているようです。
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