海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「私にとって、イラク戦争は間違いではなかった。」と題するロバート・ケーガンのインタビュー。

2007年02月26日 | イラク問題
ヴェルト紙:ケーガンさん、イラク戦争は、避けられる戦争でしたか、それとも不可避の戦争でしたか?
ケーガン:米国の歴史を振り返ると、不可避だった戦争なんて思いつかないね。だから、私なら、イラク戦争は避けられる戦争だったと言うだろう。アメリカが遂行した大抵の他の戦争と同様に。
ヴェルト紙:それは驚くべき言葉です。あなたは第一次大戦が、・・・
ケーガン:第一次大戦への参戦が不可避の歩みだったと言うアメリカ人は沢山は見つからないだろう。第一次大戦を不可避の戦争だったと言う十分な根拠があったとしたら、イラク戦争をこのカテゴリーに入れる十分な根拠もある。われわれがある戦争の助けを借りてより大きな災害を防がなければならない場合、その戦争は不可避だと言うならば、それはイラク戦争にも当てはまる。
ヴェルト紙:どの程度、当てはまりますか?
ケーガン:沢山の理由からだ。あのときわれわれには大量破壊兵器についての情報があった。だが、もっと根本的にならせてくれ。サダム・フセインが今日もなお政権を握っていたら、世界はもっとましだったと言えるとは思わないね。中近東は、まさに安定性の場所
ではないし、過激派がいない場所ではない。サダム・フセインがいたら、この不安定性と予測不可能性とはもっと高めるだろう。だから、私にとっては、イラク戦争は間違いではないのだ。
ヴェルト紙:米国がイラクで犯した最大の誤りは何ですか?
ケーガン:最大の誤りは、合衆国がイラク人達によって占領軍と見られることが分からなかったということだ。「占領」という概念を避けるために何でもやった。その際、「占領」とはあらゆる社会的分野で責任を引き受けることを意味すると言うことを排除した。だが、われわれは最初の日から街頭や行政や治安部門で秩序を作り出すために何でもやるべきだったのだ。それには、もっと沢山の部隊が必要だったろう。ラムズフェルド国防長官は、戦争が終わった後でわれわれを深刻な困難に導いたある戦争指導の哲学の権化だった。
ヴェルト紙:米国はイラク軍を維持すべきだったのですか?
ケーガン:サダムの恐怖政治の象徴を維持することが賢明だったかどうか、私には自信はない。ひょっとしたら、何人かの解説者が言うように、30万人のアメリカ軍を派遣すべきだったかもしれない。でも、それも解決にはならなかったかもしれない。
ヴェルト紙:異文化を完全に誤解したという事実も一役演じているのではないか?イラクを1945年当時のドイツや日本にたとえるというのは、初めから馬鹿げていた。
ケーガン:誰もそう単純には考えていなかった。ドイツ人や日本人は、もうおしまいだと感じた本当に被占領国民だったというのは、大きな違いだ。イラクではそうではなかった。それはアメリカの戦争遂行の仕方に懸かっている。戦争が総力戦ではないように気をつけた。われわれはイラク国民に対して戦争しているのではないということをはっきりさせた。だが、第二次大戦後の状況に戻ろう。当時、われわれは平和な民主主義に達する道
への一歩一歩を進んだ。アメリカ人がそれを突き動かさなかったら、何も起こらなかった。それはイラクでは違っていた。問題は、本当にまだコントロールできる時点を既に通り越してしまったのか。われわれがこのコントロールを再び手に入れうることを私は望んでいる。
ヴェルト紙:あなたがそういわれるのなら、部隊を数千人増やすという最近のブッシュ大統領の決定に満足できるのですか?
ケーガン:一方では、私は満足している。というわけは、部隊の増援が決まったからだ。そして大統領は、米国や世界の中の声に屈しなかったのだ。他方では私は、イラクに関する行政の能力が相変わらず最善のものではないということが分かっている。必要な決断がしばしば欠けている。私はわれわれのイラクの新しい司令官に期待している。彼は彼の前任者のように、できるだけ迅速にイラクから帰ることを考えるのではなくて、本当に何かを達成することを考えているからだ。
ヴェルト紙:イラク戦争は、テロに対する戦争の枠内で遂行されていると言われていました。そのことは、アメリカ国民に今日も明らかなのでしょうか?
ケーガン:明らかだ。世論調査がそのことを示している。われわれが2003年にイラクへ侵攻したとき、それはテロに対する戦争の一部としての武器の行使では必ずしもなかった。
皮肉なことに、今日、イラク戦争は対テロ戦争だ。アメリカがイラクで敗北することは、彼らに信じがたい力と信頼性とを与えるだろうと言うことをアルカイダは、非常によく知っている。
ヴェルト紙:だから、早期の撤退は民主党にとっても選択にはならないのですね?
ケーガン:その通りだ。もっとも、ヒラリー・クリントンが現在そこまで行くのに驚いたが、多分それは、彼女の党の雰囲気のせいだろう。アメリカが来年イラクを出れば、イラク戦争の原因となった出来事が再び起こって、われわれはまたもや介入しなければならないだろう。だから、早期撤退を要求することは近視眼的である。(以下省略)
[訳者の感想]ネオコンのイデオローグと言われるケーガンのインタービューを訳しました。彼自身がイラクを簡単に民主化できると考えていたように見えます。
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