海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「共産党幹部から、環境保護論者へ」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2007年02月25日 | 中国の政治・経済・社会
北京市の西北にある自分の小さな住まいの窓から外を見るたびに、リウ・ダシャンの目に入るものは余りない。今週も、よりによって中国の春節に、そいつはいた。つまり濃い霧である。「目の前の自分の手が見えないのよ」と54才の母親は言った。多くの北京市民と同様、彼女はどうしても必要なときにしか、外には出ない。出るときはマスクを付ける。
というのも、視界を遮っている雲は、激しいスモッグなのだ。
何ヶ月も前から、リウは、普通の排気ガス以外には何もこの霧には含まれていないのかどうかについて思いをめぐらしている。国家のメディアは、地球温暖化についていろいろ報道している。それはチベットの氷河を溶かしている。それは川や海で水量を増やしている。それは、北京の160年間で一番暖かだった異常に暖かい冬にも責任があるかもしれない。この穏やかな気候が霧の発生に好都合だった。「これは、不安にさせるわ」とリウは言う。
共産党指導部もそう考えている。3月5日に開かれる全人代の会議でも、環境というテーマは、温家宝首相の報告の中で大きな場所を占める予定である。それどころか、四月末までに、政府は「国家気候保護計画」を提出する予定だ。それはこれまでの態度の転換である。中国は、確かに「京都議定書」に署名はしたが、その低開発国という地位に固執した。先進工業国とは違って、それは炭酸ガス排気量の減少を義務づけられてはいない。
だが、北京の指導部は、京都で約束した以上のことをするつもりだ。中国は、既に炭酸ガスの排出量では、世界最大であり、二酸化硫黄の排出量では、世界第二位である。中国は、責任を取ろうとしており、その環境政策をこれまで怠ってきた分だけ拡大しようとしている。つまり、気候保護を拡大しようとしている。この計画は、三年以内に、気候に有害なガスを減らすために、党幹部に法的指針を提出する予定である。
「気候変動についての国連報告は、政府の注意を引いている」と「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)の認識について、気候局長のチン・ダヘは言う。その原文では、「ヨーロッパや米国の政治家や市民と同様、われわれは目覚めた。これまで自然を犠牲にして経済成長を追求してきた中国で、新たな革命が、気候保護のための革命が始まった」と書かれている。
国連の研究者達は、地球温暖化が個々の地域にどのような影響を及ぼすかを詳しく示した。今まで以上に旱魃や洪水があるだろう。僅かな資源の不平等な配分のために、北の砂漠化と南の大量の流水のせいで、世界中で一番多い人口13億人の国家は、特に気候変動に対して敏感である。揚子江と珠江の三角州にある人口が集中した沿岸地域と工業地帯は、海中に水没するかもしれない。何百万もの人間が家を失うだろう。気候変動は、「調和ある繁栄」への途上にある中国を数十年後退させるかもしれない。(以下省略)
[訳者の感想]これまで環境問題を無視してきた中郷政府も今度の国連報告を見て政策を大転換するようです。石油の消費量や排気ガスの排出量を減らすように努力するでしょう。
筆者は、『ヴェルト』紙の東アジア特派員のキルスティン・ヴェンク記者です。
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