海外のニュースより

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「緊急時にあなたの脳は何をするか」と題する『ガーディアン』紙の記事

2010年03月16日 | 災害と事故
あなたが燃えているビルにいて、何とかして逃げ出そうとしていると想像してほしい。煙の充満した廊下で転んだりした後で、あなたは、右へ曲がるべきか、左へ曲がるべきかを選択しなければならない。その決定は、あなたの生死を決定する。しかし、あなたの決定するかどちらを選ぶかは、決してあてずっぽうではないとグリニッチ大学の数学モデルの教授エド・ギャリアは言う。
ギャリア教授は、災害時に人々の脳がどう働くかについて科学と心理学を解決するという仕事でキャリアを積んできた。彼は数千人の生存者にインタービューを行ったが、その中には9.11の「世界貿易センタービル」を脱出した300人やパディントン鉄道事故の生存者が含まれている。彼の研究の結果は、世界中で将来起こる災害の結果に対する計画を策定しようとしている政府やビルの設計者達や救急隊員によって利用されている。
欧州連合政府から2百万ユーロの補助金を受けた彼の最も最近のプロジェクト、「行動・安全・文化」(BeSeCu)は、文化が緊急時の人々の行動に堂影響するかどうかを理解しようとしている。「私達が答えようとしてのは、人々は、国が違うと危機の際に異なる行動をするかという問いだ」とギャリア教授は言う。「評価分析の際利用されているデータの大抵は、英国・米国・オーストラリアのデータだ。人々はどこでも同じ行動をするということが、暗黙に前提されているが、私達はそれが本当かどうか確信できない。」
ギャリア教授の興味を引いたのは、テグの地下鉄で起こった電車火災だった。「私は燃えている車両内部の写真を見て、韓国の同僚と生存者のインタービューを行いました。たいていの人は座ったまま、上からの指示を待っていました。私はこの発見を英国の学会で提示すると、「君のデータは重要でない。なぜなら、こんなことは英国では決して起こりえないからだ」という示唆がなされた。そこで、私は、世界中の人々は[英国人とは]違った反応を示すかどうかを考え始めたのです。
グリニッチにある「火災安全エンジニアリング・グループ」と協力して、ギャリアと彼のチームは、「エクソダス」を設計した。それは、コンピュータを使用した「モデル・システム」で、緊急避難の際、人々がどう行動するかをシミュレートすることができる。それは既に、33ヶ国で利用されている。ロンドンのO2地区やシドニーのオリンピック・スタジアムや北京の「鳥の巣」やエアバスA380の設計に用いられた。(以下略)
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