海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「母体の中の虐待」と題する『シュピーゲル・オンライン』の記事。

2009年09月12日 | 健康
ハイデとリザは、双子として通る。彼女らは、茶色い髪をなびかせており、青灰色の目をし、身長は1.6メーターである。
だが、その他の点では、彼女らには共通点は少ない。ハイデは、19才で、リザは、20才。血縁関係はなく、偶然にいっしょに育てられた。どちらも、生後数週間後にヴェストファーレン州のゾーストに住むある夫婦に養女として引き取られた。
マリア(56)とゲルハルト(58)とは、姓を明かされることを拒んでいるが、自分たちの子供ができなかった。二人の養女が来たことで、一つの夢が叶えられたように見えた。「やっと家族を持てたわ」とマリアは言う。彼女は、200平米の大きな自分の家で家計を切り回し、ゲルハルトは、機械工学教授として働いた。
姉のリザは、初めからすくすくと成長し、大学入学資格を取り、医学の勉強を始めた。
これに対して、ハイデは、全く違っていた。「彼女は神経質な赤ん坊で、幼稚園で既に躓いたわ」と母親は言う。「ハイデは落ち着きがなく、騒がしかった。」ティーンエイジャーの時には、授業には殆ど出席しなかったわ。学校をさぼり、ときどきパンク仲間と駅の周辺をうろついた。
現在、彼女は、障害児のための特別学校に通っている。何かが気に入らないと、簡単に、暴れる。「おまえなんか馬鹿だ!」と父親を怒鳴りつけ、母親を「馬鹿×××」と叱る。
彼女の振る舞いは両親を絶望させた。彼らはリザと全く同じようにハイデも受けれなかただろうか?確かにリザと同様、ハイデも、難しい家庭事情を背景に持っていた。だからこそ、彼らは養子に出されたのだ。しかし、同時に、児童相談所のワーカーは、乳児にはどこも具合の悪いところはないと言った。
だが、何年もセラピストからセラピストへと渡り歩いた末、両親は、当時の陳述を疑う理由があった。ハイデは明らかに重大な傷害を抱えてこの世に生まれてきたのだ。彼女の生みの母親の体内で、彼女の大脳は、アルコールによって傷つけられたのだ。二年前にある医者は、「胎胚性アルコール症」だと診断を下した。
赤ん坊を速やかに仲立ちすることが大事だったので、所管のゼーストの児童相談所のワーカーは、真相の全部を語らなかったのだ。ハイデが生まれた1ヶ月後の1989年12月に、事後処理係は、ある内部書類に、ひどいアルコールの問題があると書き込んでいた。実母は、受胎後4週間経って初めて妊娠を確認し、「毎日酔っぱらっていた」と述べた。そえゆえ、アイケルボルンの州立病院への入院が命じられたのだった。
この危険な書き込みについて、養父母は、当時一言も聞かなかったとマリアとゲルハルトは言う。彼らがいろいろと調査した後で初めてこの事情が分かった。しかし、そのとき既にハイデは、17才になっていた。児童相談所の責任ある事務担当者は、先週、『シュピーゲル』に対してこの件に関して発言したくないと述べた。
「私たちはだまされたのです」と髭を蓄えたゲルハルトは過去を振り返って言う。「責任者が私たちにこの子供には精神的な傷害があると正直に言っていたら、私たちはあの子を養女にはしなかったのに」とマリアは言う。(後略)
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