海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「石油泥棒は、銃殺」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年07月29日 | 中国の政治・経済・社会
北京発:中国で初めて石油をパイプラインから盗んだ罪で二人が死刑判決を受け、処刑された。四川省最高人民法院は、「石油窃盗団」の首謀者ディン・ハンチンとルオ・シングオの両名に対して死刑判決を申し渡した。中国中部の河南省出身の農民の死刑は、即刻執行された。「われわれがパイプラインから石油を抜き取った石油泥棒を死刑に処したのは初めてである」と昨日中国の日刊紙『法律日報』は書いた。
 8人からなる窃盗団は、新聞の述べるところによると、2003年12月19日に四川省の広元市の近郊に新たに建設されたパイプラインに穴をあけて石油を盗んだ。1250キロメーターあるこのパイプラインは、中国西北部の「生命線」だと思われており、蘭州から四川省の省都である成都を経由して重慶に達している。泥棒たちは、17トンの重油を流しだした。その際、彼らは高圧のかかっているパイプラインを引き裂いた。深さ10数メートルに及んだ重油の池は、そばを走っている道路を遮断し、河川を汚染した。人命に関わる損害はなかった。広元市の中等人民法院は、2004年年末に第一審で最大でも懲役10年に及ぶ窃盗罪ではなくて、「容易に破壊され、爆発の危険があった施設の破壊」を理由に判決を言い渡した。人民法院は、重油に火がついた場合の周囲に及ぼす危険を主張した。そういうわけで、三人に死刑が言い渡された。四川省の最高人民法院は、三人に極刑を言い渡し、五人の共犯者に5年から8年に及ぶ懲役刑を言い渡した。
 エネルギー危機は、石油の輸入に依存している中国にスーダンのような政権に媚びるようにさせたが、国内でも激烈な処置をするようにさせている。人民共和国は、エネルギーの窃盗に死刑を科している。もっとも法的基礎はないのであるが。これまで、石油泥棒は、死刑が求刑される刑法の68の犯罪には属していなかった。北京の保安部は、今年4月に高等人民法院に量刑を増やすように公然と要求した。警察の突然の訴えの背景は、中国の最近の石油価格高騰後に増えた窃盗的セルフサービスである。「石油とガスとはわれわれの近代的な経済の基礎だ。それが安定して供給されることが、経済的発展と国家の社会的安定にとって不可欠である」と公安部副長官であるリウ・ジングオは言った。
 2002年以来、警察は、泥棒がパイプラインや精製所、あるいはタンク車から盗んだ事例は、1万2千件に及んでいる。中国の総延長3万キロに及ぶパイプライン網は、地方では殆ど監視ができない。2002年以来、警察の統計では、9,404人の泥棒が逮捕されている。問題になっているのは、石油パイプに穴を開けるか、自分自身の掘削機を油井に突き刺した単純なヌ民である。盗んだ燃料で、彼らは7,500の非合法の給油所や小型製油所を経営していた。2005年には、2,800人の石油泥棒が逮捕された。盗まれた石油の価値は、145億円に達している。石油泥棒をやっているのは農民だけでなく、「かなり多くの地方では、組織的な窃盗団が背後にいる。いくつかは、地方の役所に保護されている。彼らは地方経済を活性化するために石油泥棒を隠している。(以下省略)
[訳者の感想]『ヴェルト』紙に中国関係の記事をしばしば書いているジョニー・エルリング記者の記事です。日本でも灯油や石油を盗んだ連中がいるようですが、中国だったら死刑ですね。
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