海外のニュースより

政治・経済・社会の情勢について書かれた海外の新聞や雑誌の記事を選んで翻訳しています。

「21世紀の運命的問題とその分析」と題する『ヴェルト』紙の記事。

2006年07月14日 | 国際政治
セント・ペテルスブルグにおけるG8諸国の政府首脳のサミットでは、特に、エネルギー確保が問題となる。どうしたら石油と天然ガスという有限な資源を平和的に配分することができるかという問題である。
 この問いに対する答えは、二一世紀の世界秩序を決定的に形作るだろう。その際、問題となるのは、工業国の石油と天然ガス依存に対する代替を再生可能なエネルギーや綺麗な石炭を開発することによって、促進し、エネルギー経済と資源の豊かな国との国際的なビジネス関係を促進することだけではない。先進国や開発途上国の社会や産業は、見渡せる時間内では、化石エネルギーに依存している。それゆえ、エネルギー生産とエネルギー輸送の安全は、外交上、安全保障上の問題である。地球上のエネルギー資源の70%は、アフリカや中東やロシアや中央アジアなどの不安定な国々にあり、大部分、ユーラシアの危機弧を経て西欧市場へと供給される。中国の外交政策と安全保障政策は優先的にその爆発的なエネルギー需要の確保に奉仕している。インドのエネルギー問題も急速である。世界最大の天然ガス保有量をもつロシアは、その近隣諸国であるウクライナとグルジャの安定化と世界への統合を妨げるために、エネルギー経済上の依存を政治的道具として利用している。イランは、ロシアに次ぐ世界第二の石油と天然ガス資源を所有している。中国・ロシア・中央アジア諸国の協力のための上海機構にインドとイランはオブザーバーとして出席しているが、それは西欧世界に対してエネルギー政策上の対抗策を築こうとしている。
 米国は、確かに世界最大のエネルギー消費国であるが、世界中の国民総生産額の25%を占めていて、海上経由の安全な輸送を保障している。したがって、米国は、世界の石油市場が機能するために不可欠の安全保障を行っている。米国は当面、機能している石油市場を軍事的に確保できる唯一の国である。
 グローバルなエネルギー確保に対するドイツの貢献は、さまざまな要素をもたなければならない。
第一に、エネルギー供給国を多様化することによって、わずかな供給国への依存度を減らさなければならない。ドイツは、ロシアに依存している天然ガス輸入量の40%を減らすために、政治的支援を通じて、カスピ海経由でカザフスタンとトルクメニスタンに到る直接的なエネルギー供給を得ることが大切である。それと並んで、アルジェリアとナイジェリアとのエネルギー関係が築かれるかれるかもしれない。地域社会資本への西欧諸国の投資と技術的ノウハウの伝達によって、エネルギー確保政策は、開発政策でもある。
第二に、市場経済法則によって機能するグローバルな石油と天然ガス市場を作り出すように努力すべきである。その限りでは、中国に販売市場を見出そうとするロシアの努力は、市場に対して公平な態度である。他方、ロシアの国営コンツェルン「ガスプロム」がドイツの配分ネットワークに参加するならば、ロシアもトランスネフトというロシアの国営の配分ネットに西欧が参加するのを許可しなければならない。
第三に、いろいろな籠を用いてエネルギー確保の外交政策的安全保障政策的含意を共同で解決するために、多国間方式がすべてのエネルギー生産国とエネルギー消費国が代表されるグローバルな提携関係として確立されなければならないだろう。
[訳者の感想]ペテルスブルグで開かれるG8のサミットでエネルギー問題のグローバルな解決が最重要課題とするイエルク・ヒンメルライヒ記者の記事です。ドイツのエネルギー政策を日本も学ぶべきではないでしょうか。
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