海外のニュースより

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「イスラエル兵、ヒズボラの戦術をほめる」と題する『アルジャジーラ・テレビ』局の記事。

2006年07月24日 | 国際政治
 彼らは、その兵士が死を恐れない、知的で良く準備された無慈悲なゲリラと戦っていたと言う。
 「奴らを負かすことは難しい。奴らは何も恐れない」と一人の兵士は言った。
兵士達は、家屋と家屋の間の撃ち合いや村の道での撃ち合いを描写し、ヒズボラの兵士が茂みから飛び出してきてカラシュニコフ銃を発射したり、ロケット推進式の迫撃砲や対戦車砲を撃つ様を描き出した。
 イスラエル軍のコメントは、ヒスボラを無力にしようとする際に、イスラエルが直面する巨大な挑戦を裏書している。
 既に少なくとも380人のレバノン人を殺したイスラエルの巨大な火力にもかかわらず、何人かの軍事アナリストたちは、戦争は特にイスラエルに都合よくは行っていないと言う。
 イスラエルは、ゲリラを十分押し戻したり、彼らのロケットがイスラエル北部に打ち込まれ、死傷者を引き起こすのを止めることができない。
 過去数日の間に、イスラエルは、国境から500メートル入ったレバノン南部の小さな村落であるマルーン・アル・ラスを制圧しようと戦った。
 軍当局は、軍が村を制圧したと言ったが、日曜日にはまだ銃撃や砲撃による爆発が聞かれた。
 現場の将校は、まだ戦闘が続いていると認めた。「彼らはわれわれが予想したような仕方で戦わない。彼らは予想よりもずっと激しく戦った。彼らは自分自身の土地でうまく戦っている。」
 一人の兵士は、「オリーブ・グリーンの服を着たゲリラ兵は、自分たちを混乱させる」と言った。なぜならば、イスラエル兵も同じ色の服を着ているからである。
他の兵士によると、ヒズボラ兵は、地下壕に潜み、安全だと分かるとそこから出てきて戦闘する。
 イスラエル軍は、地下壕からは離れ、誘導ミサイルが破壊するように兵力を調整する。
「彼らを打ち負かすには一夏かかる」とミカエル・シドレンコは言った。
「奴らは正規兵ではなく、ゲリラだ。奴らは頭がいい。」
 シドレンコは、ヒズボラ兵がレバノンの民間人の背後から銃を撃つのを見た。「それがわれわれの兵士が撃たれる理由だ。」
 戦闘が始まってから、殺された19人のイスラエル兵士のうち、5人は、マルーン・アル・ラスを制圧しようとして死んだ。
 兵隊の死を避けるために、イスラエル軍は、その地上での侵入を国境に近いピンポイントの作戦に限定することに決定した。
 だが、軍事アナリストによれば、この戦術は、ヒズボラを押し戻し、イスラエルを攻撃する能力を破壊するというイスラエルの目標を達成するには不十分である。
 ヒズボラをすごいと記述する兵士ばかりではない。一人の兵士は、「イスラエル軍が戦闘車に乗って現れると、ゲリラは、ひよこのように逃げた」と言う。
 他の兵士達は、ヒズボラが、なぜマルーン・アル・ラスのある丘のふもとにいた二ダースあまりの戦闘車両と数百人のイスラエル兵士を攻撃しなかったか不思議がっている。
 大抵の兵士は、ゲリラがむしろ彼らのロケットをハイファのような主要なイスラエルの都市にねらいを定めていたと思っている。
 兵士達は、ヒズボラが、イスラエル兵が戦車や装甲車でマルーン・アル・ラスに近づいたとき、彼らを攻撃するのを控えたと言う。むしろ彼らはイスラエルの部隊が村落に到着するのを待ってから、攻撃を開始した。
 戦闘は、ゲリラがイスラエルが2000年にレバノンから撤退してから、地下壕を掘り、武器を蓄え、戦術を研究するのに6年かかったことを示している。
「彼らはわれわれがどこにいるか、われわれが何をしているか、どのような種類の武器をわれわれが持っているか良く知っている」とシドレンコは言う。「だが今戦うほうが後で彼らがもっと強くなってから戦うのよりましだ。」
[訳者の感想]アルジャジーラ・テレビは、この記事を書くのに、イスラエル側に入り込んで取材しているようです。立派な記者魂と言うよりありません。アルジャジーラ記者の取材を認めたイスラエル軍の態度もたいしたものだと思います。
コメント
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