白鷺だより

50年近く過ごした演劇界の思い出話をお聞かせします
     吉村正人

白鷺だより(85) 名古屋 納屋橋 「ドンバラ会館」

2016-06-06 17:11:01 | 思い出

      名古屋 納屋橋 「ドンバラ会館」

 今回の中日劇場の公演の打ち上げが名駅の焼き肉屋で行われた 
現地集合ということで昔よく歩いた道をいくことにした

この辺りは昔は劇場からちょっと離れていて 
看板さんなんかが泊まる劇場近くのホテル(名鉄グランド、都ホテル、名古屋観光、東急ホテル)とは
いわゆるランクが違って多くのスタッフや仕出しの役者たちの泊まるホテルが並んでいた
 
名鉄の頃は 名前は失念したが納屋橋の近所の隣りがラブホテルの小さなホテルに泊まっていて 
窓から隣のラブホテルの部屋の中がよく見える部屋は他のホテルの看板さんが見に来るほど人気があった
あんまり夢中になりすぎて 二つのホテルの間の隙間に落ちた人もいた
 
御園座・中日劇場は近くの「チヨダホテル」が演出部クラスの定宿で 
いつか観光ホテルや東急ホテルに泊まれるようになりたいと思っていた



その近所の錦橋の横に「ドンバラ会館」が出来たのはいつの頃からであろうか
記録によると1982年(昭和57年)に出来て移転先の「コロナクラブ」(名駅南)が出来るまでそこにあったという 
現在は鉄格子は取り外され白い壁のビルに変身している
川に面した窓という窓には鉄格子がはまった異様な9階建てのビルはそのころ日本一のホモの殿堂として君臨していた

「ドンバラ」とは「アドン」と「薔薇」を組み合わせた名前だそうで 
その当時の広告から抜粋すると
 「日本一の超デラックスなホモ専用ホテル」
ミックスルーム¥1800 エコノミーベッド¥2000 BOX個室¥2400
個室¥2900 バス・トイレTV付¥4000 特別室¥5000
超豪華室¥8000 入会金¥500
個室60室
営業時間 平日 PM3:00~翌AM11:00 日曜 24時間
SMミーティングルーム 褌ルーム ポルノショップ 女装フロア
トリプルプレールーム カラオケホール



前を通りこのような看板をみて その部屋の中で60組ほどの男たちが夜な夜な何をしているか想像すると 
極めて淫靡な気持ちになったものだ

さてここに出入りしていたダンサーに聞くとミーティングルームでガウンの帯で趣向が判るらしく
「青色の帯だと男役 黄色の帯だと女役だ」という その他の趣味嗜好は別の色らしい

会員制で伝説の会員ナンバー1は永六輔だという

ダンサーの彼によると大阪の某劇団のIさんがこの店の常連で 「今日この人にお会いした」と涙を流さんばかり喜んでいた
のちに彼が劇団を辞めたのは こういうハッテン場で若い男に声を掛けたら同じ劇団の役者だったからだという噂
僕はこのIさんが亡くなるころまで一緒に仕事をしたが 一度もお誘いがなかった
いや彼からだけじゃなく その道で有名な人からも一度もないが・・・・。

今はもうなくなったらしいが ミヤコ蝶々が足しげく通っていた「つけもの」というショウパブも名古屋にあった
(1974~2010)
ボクらがよく行っていたころは御園座の「近松心中物語」が大当たり(制作の村上さんが千秋楽 雪を撒きながら劇場の周りを走った)した
スグあとの頃で近松もののパロデイを多くやっていた

少しあと 梅沢劇団の市川吉丸に誘われて錦のゲイバーによく行った 
そのショウはよく考えられていて劇団のコミック部門のヒントとなった 
もちろん劇団のネタもよくその店で見た覚えがある
この店で美輪明宏の「老女優は去りゆく」を初めて聞いた

「浪花女」の時 小島秀哉に誘われて行ったゲイバーは平均年齢60歳のおばあちゃんばかりの店だった


東京とも大阪ともちょっと違うゲイどころ 名古屋である




最新の画像もっと見る

コメントを投稿