インディオ通信

古代アメリカの共感した者の備忘録8年。

未知と向かい合うには?

2011-04-17 09:50:53 | カスタネダ『呪術の実践』 !
今から何を書くのか全く白紙である。ブログはいわば未知への挑戦となるか。とりあえず、カスタネダの『意識への回帰』を引っ張り出し、ドン・ファンに語らせる。

 完璧というのは、エネルギーの適切な使い方以外の何ものでもない。わしのいうことには、モラルの問題など少しも入っていないんだぞ。わしの場合は、エネルギーを節約することで完璧になるんだ。これを理解するには、お前自身が十分ににエネルギーを節約しなければいかんのだよ。 

 自尊心でも「悪い方の自尊心」はエネルギーを膨大に浪費するから、「戦士」は戦略的にそれを無くすのだという。確かに妙なプライドがあると妙なところに神経が注がれ、大事なものが見えなくなる。たとえるなら、サラリーマンが肩書を与えられ、そのプライドでせっせと頑張らされて、さらに地位的な意識が高まる。しかし「小暴君」が現れたりしてプライドを叩かれると、精神的に膨大なエネルギーを浪費する。ストレスを減らすためには最初から自尊心がないことが重要か。

 ドン・ファンは具体的に語る。

 戦士は戦略の一覧表をつくるんだ。自分がすることを、すべてリスト・アップするんだよ。それから、自分のエネルギーを使うことに関して、一息つくためにはどの項目が変更可能かを考えるんだ。

 私(カスタネダ)は、戦士のリストにはこの世のあらゆるものが含まれていなければならないはずだ、といった。それに対してドン・ファンは、彼のいう一覧表に含まれているのは、私たちの生存と幸福にとって本質的なものとはいえない行動パターンだけなのだ、と根気強く説明した。


 なるほど、人生は無駄だらけである。テレビを見るのも、最近エネルギーを莫大に浪費するし、ネットもそうである。こうやって毎日ブログを書いているのも、そうなのかもしれないが、これは日記代わりとして残しておこう(しかし膨大なエネルギーが…)。放射能汚染がどうの、これからの自然災害がどうの、考えたところでどうなるものでもない。カネがないからどうしようとか、将来が不安だとか、みんな悩んでいるだろうが(?)、新聞やらテレビやネットでいろんな情報が流れているけれども、その映像、高周波というか波動というか、人体を蝕んでいくのだろう。そしてその意識を「イーグル」が美味しい美味しいとむしゃむしゃ食べていくわけか。

 未知は不安である。が、同時に楽しみであり、冒険でもある。ドンファンは語る。

 戦士がまず最初に気にかけることのひとつは、未知のものに向かい合うためにそのエネルギーを解き放つことだ。そのエネルギーの流れる道を切り開きなおす行動が、完璧さなんだよ。

 …とあり、もっとも効果的な戦略は征服された見るもの(古い呪術師と違う、新しいドン・ファンのような「見る」者)によって開発されたようである。

 その戦士の特質として必要なのは、①管理②訓練③忍耐④タイミング⑤意志、であるが、問題が降りかからねばそれらが発揮する機会もないので、無限なる宇宙は「小暴君」を送り込むというわけである。それで、小暴君のレベルが高ければ高いほど、喜ぶべき状態だと言い、まさにスターリンやら織田信長のごとき暴君が「戦士」を鍛えるわけである。古い見る者たち(古代の呪術師)はその呪術力にもかかわらず、知恵不足で蠅のように大量に殺されたわけである(スペインの征服者たちに)。

  最後に総括するに大量の文章を写してみよう。

  ドン・ファンの師は鬼のような人間との出会いから何を得なければならないかを教え、新しい見る者たちが知の道の四つの段階をどうとらえていたかを話した。第一段階は、弟子になる決心だ。弟子になって自分自身や世界に対する見方が変わると、第二段階に進んで戦士になる。これはすなわち、最高度の鍛錬と自分自身の管理ができるということだ。忍耐とタイミングを身につけた後の第三段階は、知者になることだ。知者が見ることを学ぶと第四段階へ進み、見る者になる… これは何か、ニーチェのツアラツストラの「ラクダの精神→ ライオンの精神→ 幼子の精神」を髣髴させる。幼子の精神なんて訳が分からないが、ナワール的な観点からすれば、生まれた時が一番光り輝く存在であったわけで(固定観念も何もない)、純粋にエネルギーの世界を知覚できたわけである。「見る者=幼子の精神」とすれば、「戦士=ラクダの精神」で、「知者=ライオンの精神」になるのか。

 「戦士であり続ける」だけでは、ラクダのまま人生を終わってしまうような…。