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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

豊平川を遡るサケの未来は?

2024-01-29 20:10:58 | 講演・講義・フォーラム等
 札幌の中心部を流れる豊平川は1950年代に水質悪化によりサケも棲めない川となっていたが、水質改善と市民や関係機関の「カムバックサーモン運動」もあって今やサケが遡上する川となった。しかし今、そのサケと川の在り方についていろいろと議論が起こっているという。
     
 1月27日(土)午後、NHK札幌放送局においてSWSP(札幌ワイルドサーモンプロジェクト)が主催する市民フォーラム「豊平川野生サケ 10年後の景色を語ろう!」が開催され参加した。NHKが自社以外の催しをNHKを会場とする催しに参加したのは初めての体験だった。

 フォーラムは最初にSWSPの共同代表であり、豊平川サケ科学館に勤務する有賀望氏が「豊平川の野生サケは存続可能?SWSOの役割と今後の課題」と題しての報告があった。
 続いて、道立総合研究機構の研究主幹・卜部浩一氏が「川に必要な3つの流れ~サケに産卵環境に重要な砂利の流れに着目して~」と題して基調講演をされた。
 そして最後は関係者4名が登壇して「豊平川野生サケ―10年後の景色を語ろう」と題するパネルディスカッションが行われた。
    
※ 人工ふ化させたサケの稚魚(放流魚)を川に放流する子どもたちです。

 三つのコマの内容について詳細にレポすることは私にとって困難なことなので、私が受け止められたことをレポしてみると…、
◇豊平川サケ科学館とSWSPによってサケの卵を人工ふ化させ、放流事業を行うことによって、放流された稚魚が成長し、豊平川に回帰するようになった。
◇当初は稚魚20万尾を放流していた(放流魚)が、自然産卵の稚魚(野生魚)が多くなってきたことから、近年は放流魚を8万尾まで減少させている。(野生魚の方が回帰率は高い)
◇本来は野生魚だけになることが理想だが、サケ科学館としては子どもたちがサケに触れ、自然を学ばせるための良い教材なので、放流魚の事業も継続する意義を感じている。
◇サケが自然産卵するためには適度な礫や石ころが広がる産卵床が必要であるが、近年はダムなどの造成により礫や石ころが下流に流れてこない傾向にある。
◇一方で、豊平川を長いスパンでみると、現在の川底と堤防の関係から増水時に川水が堤防を越え、洪水になる危険性を孕んでいる。(つまり川底を深くする必要)
◇川に遡上してきたサケは現在捕獲禁止となっているが、先住民族であるアイヌにとって重要な食料源だった。アイヌ民族がサケを捕獲する権利を認めるべきではないか。
などなど、立場によってさまざまな意見が交換された。

※ 産卵するための適地を探す遡上してきたサケです。
 お話を聴いていた私は軽々な意見は差し控えるべきと思いつつ、次のようなことを考えた。生物多様性が叫ばれる今、サケもまた古来からの自然環境の中で生きていけるように配慮すべきと考えるが、一方でそのことを主張するあまりヒトの生命が危険にさらされることはあってはならないと思う。
 そこでこれまで何の関心も抱かずに生きてきた私が意見を差し挟むのはどうかと思うが、まずはヒトの生命を守ることが第一と考える。したがって、豊平川の川底を深く掘削することで洪水の危険性を除去した上で、サケが産卵しやすいような川床の造成ができないものか考えることではないかと思ったのだが、どうなのだろうか?

 また、先住民族であるアイヌの方々が遡上したサケを捕獲することについては、彼らが先人の生活文化を伝えていく手段として一部認めていく方向で検討すべきことなのではと思ったのだが…。

 ただ、私はそれ以上に心配していることがある。それは昨秋の海でのサケの捕獲数が激減したというニュースである。地球温暖化(今や沸騰化とも称されている)によって海水温が上昇し、北海道の海からサケが遠ざかってしまったとも言われ始めた。この後、回帰するサケが北海道に近づかなくなったとしたら、北海道のサケ文化はどうなるのだろうか?という心配が現実化してきているように思えるのだが…。


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