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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

北海道・北東北の縄文遺跡群巡り〈9〉 御所野遺跡(一戸町)

2023-10-26 14:00:35 | 北海道・北東北縄文遺跡群関連
 「御所野遺跡」は、遺跡そのものも、ガイダンス施設も、そこにいたるエントランスも、「三内丸山遺跡」に優るとも劣らないもので、私が巡った17遺跡の中で双璧を成すと言っても過言でないほど充実した遺跡だった。
        
 北東北の縄文遺跡群巡りの第2日は、遺跡間が離れていることもありこの日は「御所野遺跡」一つを見学するにとどめた。そのため時間的に余裕もあったために、八戸市の国の天然記念物の指定を受けている「蕪島ウミネコ繁殖地」を訪れたり、「御所野遺跡」へ向かう途中の三戸町の「三戸城跡」を見学したりしながら「御所野遺跡」へ向かった。
 「御所野遺跡」は縄文中期後半の紀元前2,500年から2,000年に栄えた遺跡であるという。
 一戸町にある「御所野遺跡」は、国道4号線沿いを三戸町、二戸市を通って一戸町の中心街も通過した郊外に位置していた。するとそこに三角屋根の建物が見えたので、そこがガイダンス施設かと思ったのだが、それは「ききのつりはし」という木製の吊り橋が架かっている入口だった。屋根付きの木道「ききのつりはし」は深い谷を跨ぐように造られていたが、一戸町の説明では「谷の向こうにある数千年前の縄文時代の景観に向かうためのタイムトリップ装置としても機能し、弧になって曲がっているため見通しのきかないところが不安と期待を喚起し、外光の入る明るい部分と板張りの暗い部分が交互に体験することで、時間を圧縮した感覚を味わうことができる」とあったが、まさにそのとおりで「どんな遺跡が待っているのだろう!」という期待感に胸を膨らませながら遺跡に向かった私だった。
  
  ※ 国道4号線沿いに建っていた「ききのつりはし」の入口の建物です。
  
  ※ 「ききのつりはし」の内部は写真のように弧を描いていました。
  
  ※ HPから借用した「ききのつりはし」の全景です。谷の向こうに遺跡がありました。
 つり橋を渡り終わると、そこには遺跡のガイダンス施設である「御所野縄文博物館」が待っていた。この博物館もまた素晴らしく、遺跡からは直接見えないように配置され、屋根は芝生で覆われているといった凝りようだった。
  
  ※ 「ききのつりはし」を渡り終えると「御所野縄文博物館」がお出迎えです。
 博物館に着いたのが予定より早かったために、「予約したガイドを早めていただけないか」とお願いしたところ、ガイドと連絡を取ってくれて予定より早くガイドしていただけることになった。ここでもガイドの方は退職された男性のガイドの方だったが、私と1時間以上にわたり博物館内、そして遺跡を案内していただいた。
 まず博物館で印象的だったのが、縄文人の生活の様子を再現したプロジェクションマッピングだった。一年間の生活の移り変わりを分かりやすく再現したところは多少デフォルメされているところがあったかもしれないが、縄文人の生活の様子を理解するうえでは素晴らしい映像だったと思われた。
 また博物館内も観覧する側の立場に立った展示が素晴らしいと思えた。その中でも有名なものの一つに「鼻曲がり土面」という個性的な表情をした土面と、妊娠した女性を表現した「縄文ぼいん」とも称される土偶が有名とのことだった。
  
  ※ 御所野遺跡を代表する出土品の一つ「鼻曲がり土面」です。
  
  ※ こちらは妊娠した女性を表した通称「縄文ぼいん」だそうです。
 つづいて博物館から遺跡へ移動して説明を受けた。御所野遺跡は広々とした台地に広がっていた。というのもこの時代は居住域と墓域、祭祀場が分かれていたことも広いところが必要だったと思われる。遺跡には竪穴式住居をはじめ、祭祀を行う集会場と思われる施設、などが復元されて遺跡の各所に建てられていた。また、明らかに墓石と思われる「配石遺構」も何ヵ所か復元されていた。
  
  ※ 広々とした台地の広がる「御所野遺跡」です。
  
  ※ 再現された土盛の竪穴式住居です。
  
  ※ こちらは木の皮で造った貯蔵庫のような働きをした建物です。
  
  ※ 死者を弔う石の配列だと思われます。
 ここの「御所野縄文博物館」ばかりではなく、今回の旅の中で度々出てきた言葉で「アオトラ石」という言葉が出てきた。この石は緑食岩と呼ばれる堅い石で、石斧(せきふ)に使われた石だったという。鉄の無い時代、堅いアオトラ石で縄文人は木を切り倒していたという。その産地が北海道の日高山脈からしか採れなかったそうだ。このような貴重な石が海を渡って東北各地に伝来されたというから非常に興味深い。御所野遺跡内においても 現代人がアオトラ石を使って倒された木株の跡が残っていた。
        
        ※ 北海道日高産のアオトラ(青虎)石です。
  
  ※ そのアオトラ石で木株を切り倒した跡です。相当な重労働を伴ったと考えられます。これはもちろん現代人がアオトラ石を用いて木株を切り倒した跡ですよ!
 最後にガイドの方はもう一度博物館に戻り、説明したりなかったことを詳しく説明してくれるなど終始親切なガイドぶりが印象的だった。
 そして私は最初に渡った「ききのつりはし」を再び渡り現代に還ってきたのだった。

 ガイダンス施設「御所野縄文博物館」 岩手県一戸町岩舘御所野2                
  ◇入館料 300円
  ◇訪問日 10月13日(金)



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