田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

水木しげる 百鬼夜行展

2024-08-09 19:27:27 | 作品展・展覧会等
 「ゲゲゲの鬼太郎」などの妖怪漫画で一世を風靡した水木しげるは、漫画家である前に妖怪研究家として非常に深く妖怪について探索を続けた方だったと知ることができた展覧会だった…。

     

 本日午前、札幌芸術の森美術館で開催中の「水木しげる 百鬼夜行展~お化けたちはこうして生まれた~」を観覧した。
 私はこうした展覧会の類については、美術などへの造詣が浅く、さらには水木しげるの漫画についてもほとんど読んだことがなかったことから、この展覧会についてもそれほど興味をもっているわけではなかった。ところが、ある知人から展覧会の招待券を譲っていただいた。譲っていただいたからには観覧しなければ失礼である。そこで遅まきながら本日美術館に駆け付けたというわけである。
 私は水木しげるの作品そのものには上述したように大して興味は持てなかったのだが、水木しげるの人そのもの、さらには水木の漫画業について理解したいと思いながら館内展示を見て回った。するとあるキーワードに出会った。
そのキーワードとは、水木の仕事(漫画業)が「ブリコラージュ」から成っているという表現に出会った。「ブリコラージュ」とは、本来はフランス語で「ある目的のためにあつらえられた既存の材料や器具を、別の目的に役立てる手法」だという。
 水木の場合は、「イメージ」(版本・浮世絵を古書店で収集する)、「オブジェ」(民芸や工芸品を旅先や取材で購入)、「エクスペリエンス」(のんのんばあとの出会いや自らの実体験)、「スクラッピング」(雑誌や新聞の切り抜きをすることでの調査・収集)、以上の4項目を総動員しながら水木ワールドを形成していったということなのだ。
 つまり水木が描いた妖怪の多くは、水木の創作ではなく(一部創作もあるそうだが)元画の妖怪がおり、その元画の周りに人を配したり、画をカラー化したりするなど、まさにブリコラージュした形で世に出している。

   
  ※ 水木が世に送り出した妖怪たちの一部です。

 水木の妖怪研究はかなり本格的だったようで、晩年には「世界妖怪協会」を組織し、その会長にも就任している。
 水木の妖怪人生(そのような言葉があるのか??)の始まりは幼少期に出会った「のんのんばあ」との出会いだという。「のんのんばあ」とは、近所に住んでいた士族出の神仏に仕える拝み屋の妻だそうだが、その「のんのんばあ」が水木に妖怪のことを語って聞かせたのが水木が妖怪に興味をもった始まりであり、大きな影響を与えたそうだ。その他にも水木に影響を与えた人は多くいることが分かった。例えば江戸時代の浮世絵師の鳥山石燕、民俗学者の柳田國男などがいるが、詳細は割愛したい。

              

 水木が世に出した妖怪の多くは、水木の多大なる研究の成果として世に出されたことを知ることができた展覧会だった。