ヒグマが、オオワシが、シマフクロウが…、北の大地に鼓動する野生生物たちの姿が鮮やかに切り撮られた一枚一枚は圧倒的な迫力で私に迫ってきた。私たちが住む自然の豊かさを再認識されられた写真展だった。
※ 会場の「道新ぎゃらりー」の入口に掲示された写真展の案内です。
私は写真展とか、絵画展にはあまり興味を抱くことがない人間だと自認している。そんな私であるが「道内の野生生物 迫力ある写真に」という北海道新聞の見出しにちょっと 心が動き、覗いてみることにした。
札幌市の写真家・山本純一さんが写真集「カムイの生命(いちの)」の出版記念写真展が昨日7日から12日までの日程で、道新ぎゃらりーで開催されていることを知り、本日午後覗いてみることにした。
道新ホール7階の「道新ぎゃらりー」にはたくさんの人たちが詰めかけていた。その多くは平日とあってシニア層が多かった。今、シニアの間でカメラファンやネイチャー志向の方が増えていると聞くが、そのことを反映しているようだった。
※ 写真展の作品を撮るのはNGだと思い、場内の混み具合を撮った一枚です。
写真展は大小取り交ぜて43点の写真が「森、川、空、海」といったジャンルに類別されて展示されていた。中には「氷筍」、「御神渡り」といった自然そのものを写し取ったものもあったが、多くは自然の中に生きる「ヒグマ」、「キタキツネ」、「エゾシカ」、「オオワシ」、「シマフクロウ」といった動物たちに焦点を合わせた写真が多かった。写真展のパンフレットの扉の写真にもなっているヒグマが鮭をくわえた一枚は非常に迫力があるとともに自然の厳しさを教えてくれる一枚だったが、私が最も感動した一枚は海面から飛び立とうとするハシボソミズナギドリの無数ともいえる大群の姿だった。
※ 以下、3枚の写真は提供されたパンフの写真を私のカメラで改めて撮ったもので、山本氏の作品の雰囲気を感じ取ってもらいたいと思い貼り付けました。
ハシボソミズナギドリが飛び立つ瞬間もそうであるが、ヒグマが鮭を捉える瞬間、ミサゴが海中の魚を目ざして飛び込む瞬間など、その一瞬のために山本氏はどれだけの時間待ち続けた末での一枚なのだろう?おそらく気の遠くなるような時間待ち続けた末の一枚なのだろうと推測される。時々アマチュアの方のブログでも野鳥や小動物を写した写真などを拝見するが、私のようなせっかちな人間にはとても真似のできない粘り強さである。
おそらく山本氏のようなプロの方々は、そうして写した何万、何千枚の中から厳選した一枚を作品として外に出していられるのだろうと思われるが、大変な努力と才能である。また、私たちが住む北海道では多くの野生生物たちが絶滅の危機に瀕しているとも聞くが、一方で山本氏のように方々が映し出す豊かな自然がまだまだ残っていることにどこか安堵の思いもするのである。
そんな豊かな自然が、彼の国のように人為的に無残に壊されないことを祈りたい。などと、発想がつい飛んでしまうことが悲しい…。
※ 私が最も感動した「ハシボソミズナギドリ」の飛び立ちの様子ですが、この写真は山本氏のモノではなく、山本氏が主宰したツアーの参加者の一枚です。山本氏のそれはもっとアングルの高い位置から、この写真の数倍の数のハシボソミズナギドリの飛び立ちを撮ったものでした。そして写真もクリアでした。