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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

社会主義文化はソ連から中国にどのように伝播されたのか?

2017-07-02 21:32:26 | 大学公開講座
 演題に惹かれて受講してみたのだが、私自身に講師の話を受け止めるだけの素養が備わっていなかったという問題もあり、十分な理解ができたとはとても言い難いが、私なりに受け止めたことをレポしてみたい。 

 6月30日(金)夜、北大のスラブ・ユーラシア研究センターが主催する公開講座を受講した。演題は「ソ連から中国へ:社会主義文化の伝播」題して、同センターの越野剛准教授が講義された。

               
             
 越野氏は「ロシア文学」が専門の方である。したがって、講義はロシア文学がどのような形で中国に伝播されていったか、ということについて、主としてロシア文学が映画という形に変えて伝播していった状況について語った。

 中国にソ連文化が伝播していった形として、そのまま文学の形で伝播するよりは、映画、TVドラマなど形を変えて伝播される場合が多いという。
 特に中国では「連環画(れんかんが)」という形で伝播される場合があるという。
 「連環画」という言葉を私は初めて聞いた。「連環画」とは、日本でいうとマンガにあたるようだが、ストーリーを写真や描画によって描かれたものだそうだ。(実物も見せていただいた)

               

               ※ 越野准教授が受講者に提示してくれた「連環画」の表紙(上)と内部の様子(下)です。

               

 この「連環画」はソ連の社会主義文化が伝播される中国にとっても都合のいいものだったようだ。というのは、中国にとっても拙いと思われる表現を意図的に排除したり、削除したりすることが可能だったからだ。
 中国ではソ連の文学が「連環画」という形でずいぶんたくさん伝わったようである。

 また、ソ連製の映画「朝焼けは静かなれど」という作品が中国においては熱心に受容されたという。この映画は、ソ連の女性兵士だけからなるある部隊を描いた映画である。映画は前半が女性兵士の日常を描き、後半は戦闘場面が描かれているそうだが、その前半部分に女性兵士がサウナに入ったり、水浴びをしたりシーンがあるそうだ。(女性の裸体が描写されている)しかし、中国公開の際には削除されたという。

               
               ※ こちらはウェブ上から拝借した「連環画」です。

 さて、ロシア文学の「朝焼けは静かなれど」がなぜ中国に受け入れられたか、という点について、越野氏はその要因の一つに中国の文化が「連環画」(1980年代)中心から「TVドラマ」(2000年代以降)へと変化してきたことがあるという。その中でも中国においてはソ連(ロシア)で描かれていることが、中国では排除したり、削除されたりしているという。しかし、そのことが逆にその空白の部分に想像力を膨らませて楽しみ、多くの人たちに受け入れたとした。

               
               ※ 講義中の様子です。

 講義題の「ソ連から中国への社会主義の伝播」についてだが、越野氏は一つの窓から語ってくれたが、ソ連の社会主義文化がストレートに中国に伝わったわけではなく、中国流に翻訳された形で伝播したことが分かってくる。
 それはある意味、ソ連と中国との関係だけではなく、国家間で文化が伝わっていく際にはそうしたことが言えるのではないかということだと思う。


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