田舎おじさん 札幌を見る!観る!視る!

私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

映画 №339 ドライブ・マイ・カー

2022-02-18 15:54:27 | 映画観賞・感想

 本年度のアカデミー賞作品賞にノミネートされたことで話題の作品を観賞した。さすがにノミネートされた作品である。ストーリーに厚みと深みを感じさせるものだった。しかし…。

         

 昨日正午から、サツゲキにて話題(?)の「ドライブ・マイ・カー」を観た。多分にミーハー的体質を有する私は “アカデミー賞作品賞にノミネートされた” と聞いて、すぐさま「観なければ!」と思った。というのも一昨年春、コロナ禍の第一波の際に集中的に2010~2020年のアカデミー賞作品賞を観た体験があったからだ。

 本作の主な出演者は、主役の舞台演出家である家福(西島秀俊)、家福の妻で脚本家の音(霧島れいか)、音から紹介された俳優の高槻(岡田将生)、広島での舞台演出のときに家福の専用ドライバーとなるみさき(三浦透子)といった面々である。

   

※ 左から浜口竜介監督、西島秀俊、三浦透子、霧島れいかの面々です。

 ストーリーは非常に複雑で、重層的である。原作は村上春樹著の「ドライブ・マイ・カー」だそうだが、監督の濱口竜介は作品をそのまま踏襲したのではなく、彼の中で内容を膨らませた形で映画化されたそうだ。私は残念ながら原作は未読である。複雑で、重層的なストーリーのために、一度見ただけでは私には十分に理解できたとは言い難いのだが、感想めいたことを記してみたいと思う。

 家福と音は仲の良い夫婦で、特に家福は音を深く愛していた。しかし、音には家福に対してある秘密を抱いていた。その秘密に家福が気付きつつあったころに音はくも膜下出血で突然亡くなってしまう。数年後、舞台演出家の家福は広島での舞台(チェーホフ作「ワーニャ叔父さん」)を演出するために赴く。そのオーディションに高槻が現れ、家福はその主役に高槻を据えることにする。その広島で家福の車の専用ドライバーとしてみさきが絡んでくる。高槻は音の秘密に関係していることを伺わせることを家福に告白する。一方、みさきは家福との時間が長くなるにつれて家福と自分とのある共通点に気付いた。

   

※ 映画後半はスウェーデン製「サーブ」の室内での演技が重要となるが、その車内の家福とみさきです。

 ここまで書いてきてストーリーが複雑で、難解なことが伺えないだろうか?結論としても何か明確なメッセージが発せられたと私には受け止められなかった。結局、人間とは複雑で、それぞれ悩みや悔やみきれないことを抱えながらも、前を向いて生きていこう、という人間賛歌の映画だったのだと私は理解したい。 

 さて、リード文に記した「しかし…」についてだが、この浜口竜介監督の「ドライブ・マイ・カー」が本年度のアカデミー賞作品賞を獲得できるか?ということだが、私は率直に言って「難しいのではないか?」という結論なのだが…。先に書いたように私は2010~2020年までのアカデミー賞作品賞を観賞した体験からそう結論付けた。アメリカのアカデミー賞作品賞は作品的に優れているのはもちろんのこと、それと共にエンターテイメント作品としても優れていることが求められる。その点で「ドライブ・マイ・カー」はどうなのだろうか?という疑問符が付く。2020年に非英語圏以外で初のアカデミー賞作品賞を獲得し話題となった韓国映画の「パラサイト 半地下の家族」は、そのストーリーの展開が観る者の予想を覆す展開が次から次と続き、観客を驚かせ続けた。そうしたエンターテイメント性に「ドライブ・マイ・カー」はやや欠けるかなぁ、と思われるからだ。

 「ドライブ・マイ・カー」はむしろ芸術性を重視する世界三大映画祭(ベネチア、カンヌ、ベルリン各国際映画祭)に相応しい作品だと思われるのだが、どうだろう?

 私の予想が外れて、見事本年度のアカデミー賞作品賞に選出されることを心待ちにしたいのだが…。

※ 本欄の掲載写真は全てウェブ上から拝借しました。

《北京冬季五輪寸評》

 ジャイアントキリング!!!

 カーリング女子、ロコ・ソラーレが見事な見事な大仕事をやってくれた!! まさにジャイアントキリングだ! 昨日、叩きのめされたスイスに対して、見事に雪辱を果たしてくれ決勝戦に駒を進めてくれた。堅実な試合運びを続けるスイスを相手に、僅かな隙を突いて第5エンドに4点をもぎ取るビッグエンドを作ったのが大きかった。対するスイスも第7エンドに3点を返すという粘りを見せたが、日本はそれに動じず勝ち切った。昨日の投稿でスキップの藤沢選手の不調が心配と記したが、この日の対戦ではスキップらしくことごとくナイスショットを決めて日本を勝利に導いてくれた。さあ、こうなったら目指すは金メダルだ!! 行け!笑顔をで! ロコ・ソラーレ❣

 昨夜の戦いでは、複合団体での銅メダルは素晴らしい大殊勲である。渡部暁斗選手以外は世界の強豪国の選手たちの後塵を拝している中での戦いだった。しかも日本得意のジャンプで4位につけ、弱点とされるクロカンで逆襲はほぼ難しいと見られていた中、なんと!クロカンで前半を上回り、銅メダルを獲得するとは!大殊勲である。

 一方、何かと話題の多かった女子フィギアスケートだが、絶対王者と目されたワリエア選手が 騒動の渦中に巻き込まれ、そのプレッシャーにつぶされたのか考えられぬミスを連発し、第4位に沈んでしまった。そのことで坂本花織選手が銅メダルに繰り上がることができた。それは素晴らしいことだが、私には気になったことがあった。つまり彼女はある意味敵失によってところてん式に銅メダルが転がり込んだのである。その坂本選手が無邪気に(?)に喜んでいた表情が気になった。複雑なドーピング問題が絡んだ今回の女子フィギアだったが、坂本選手には失敗してしまった6歳も年下のワリエア選手への思いやりをどこかに表してほしかったなぁ、と私は思った。そうすることで坂本選手の銅メダルはもっと輝いたはずだったのだが…。