指定第28号の「永井邸」はかなり都心に近いビル街に建っている。近くにはプリンスホテル札幌のタワービルが聳え立ち、木造の住宅の落ち着いた佇まいがかえって永井邸を際立たせているようにも見える。
※ 古色然とした佇まいの「永井邸」です。
この永井邸も北海道帝国大学(現在の北海道大学)の医学部の永井一夫教授の自邸として建てられたものだそうだ。こう見てくると札幌景観資産の中で北海道帝国大学の教授邸が三邸も入っている。現在指定から外れはしたが「旧星野邸」も北海道帝国大学の教授邸である。こう考えると、当時の帝国大学の教授というのは俸給も高く、かなりの特権階級だったのかな?ということが伺える。
※ 邸宅のすぐ近くにプリンスホテル札幌の円形タワーが見えます。
※ 石塀で囲っているのも、昭和初期の広壮なお住まいの特徴でしょうか?
※ 窓枠の白色と、壁の黒色のコントラストが落ち着いた美しさを醸し出しています。
※ 住宅の向こうにもビルの壁が覗いています。
※ 窓の金枠がいかにも昭和初期の建物らしさを醸し出しています。
さて「永井邸」であるが、永井教授はドイツ留学の経験があり、そのことを活かし自ら建築のプランを練った住宅だと伝えられている。住宅は大正期に都心に隣接する住宅地として発展した一帯に建てられたという。黒塗りの下見張りと白塗りの窓枠のコントラストが外観を印象付けているが、外観についてはほとんど改修をしていないと伝えられている。
なお、邸宅名の冠に「旧」が付いていないところをみると、現在も永井一夫教授の子孫が暮らしておられるようである。現在もお住まいであるからもちろん内部は非公開である。
《永井邸 情報》
◇所在地 札幌市中央区南2条西12丁目323-5
◇建設年 1931(昭和6)年
◇構 造 木造
◇指定年 2009(平成21)年8月6日
◇その他 個人宅につき非公開 ※敷地内無断立入り禁止。
◇訪問日 2021年10月7日