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私の札幌生活も17年目を迎えました。これまでのスタイルを維持しつつ原点回帰も試み、さらなるバージョンアップを目ざします。

大気にはカオス的性質がある?

2017-08-21 18:18:21 | 講演・講義・フォーラム等
 大気の振る舞いにはカオス性といって、将来の状況を断定的には予測できないという性質があるという。したがって、長期的な天気予報には限度があるという。気象研究所の研究官であり、北大の研究者だった方から、気象予報の仕組みを伺った。 

 8月18日(金)午後、かでる2・7において、毎月受講している第6回の「かでる講座」が開催された。
 今回のテーマは「長期予報はなぜ当たらないか? ~地球温暖化って本当か~」 と題して、北海道大学名誉教授の山崎孝治氏が講師を担当した。山崎氏は長年気象研究所で気象についての研究された後、北大に転身された方だということだった。

               

 山崎氏のお話を伺うまでもなく、天気予報というのは不確実性のあるもの、という認識が私たちの中にはある。しかし、近年は近未来の予報精度が飛躍的に向上してきたことも私たちは実感している。
 予報精度が向上してきた理由は、ごく簡単に言うと、現状の気象観測をもとに初期値を作成し、その数値をもとに予報モデルの計算式に当てはめ、コンピュータに計算させるという方式が確立したことによるようだ。つまり、現状の気象観測の多様化、計算式の高度化などが精度の向上に寄与しているようだ。

 しかし、山崎氏は言う。予報精度が向上したのは10日~2週間程度内だという。(これを「決定論的予測可能時間」と称するそうだ)
 それ以上の予報は現在のところ不可能だという。その理由として「大気のカオス的振る舞い」があるという。「カオス」とは、いろいろな解釈があるが、もっとも相応しいと思われる表現は「想定外のことが入り混じり理解できない状況」あたりが適当かと思う。
 私流に解釈すれば、大気のようにふわふわして掴みどころのない物体(?)の2週間後の動きを予想することなど不可能な話である、ということだろう。

 そこで気象界における長期予報の方法は「アンサンブル予報」という手法を用いているということだった。「アンサンブル予報」とは、初期値を少しずつ異なるものを用意して計算し、多数の予報を行って、そこから統計的な性質を利用して最も起こりやすい気象現象を予報するという方法である。簡単に言うと、多数決の原理ということだろうか?

               

 さて、副題にある「地球温暖化」の問題であるが、この問題については一部研究者の間で見解の相違がある問題である。しかし、統計学的には明らかに大気中のCO2濃度が増し、気温が右肩上がりの状況となっているのは明らかであるという。地球上においてこのままCO2を出し続ければ温暖化が進行することは疑いないことだと山崎氏は指摘した。

 気象予報が現在のようにまだ完全なものでないということは、これから先研究が進むことによって“大気のカオス性”をも凌駕して長期予報が可能になっていくのだろうか?
 かなり興味深いテーマである。