体調の不安を心配しながら登山を敢行するなどということは恥ずべきことなのだが…。体力の衰えを自覚しながらも敢行したところに私の愚かさがある。そのしっぺ返しに私は苦しむことになった…。

そのアクシデントは下山時に起こった。
山頂で十分休みを取り(50分)、しかも登山と違い下山だから「まあ、なんとかなるだろう」と考えていた。
下山を始めて「真簾沼」で一休みしようとしたときだった。「ビリッ!」という痛みが大腿部の裏に走った。
経験をしたことのない痛みである。しかし、その時はしばらそこで休んだので事なきを得た。
「真簾沼」から「万計沼」に向かって急な斜面を下っていたときだった。疲れから注意力が散漫になっていたのだろうか、足を滑らせ転倒してしまった。
転倒ではパンツを泥だらけにしたのと、肘にかすり傷を負った程度で済んだのだが…。慌てて起き上がろうとしたとき、また大腿部の裏に「ビリッ!」ときた。
私の転倒の様子を見ていた後ろから来た若者が「大腿部の裏側を伸ばすと良いですよ」とアドバイスをくれた。アドバイスどおり、その場で裏側を伸ばすことに専念した。
若者(カップル)がその場を立ち去ろうとしない。恐縮した私は「どうぞ行ってください。私はもう少しこの場で伸ばしてから行きますから」と言うと、若者は「脱水症状かもしれません。水分を摂るといいですよ」と言い残し立ち去った。

※ 私が足を滑らせ、転倒してしまった付近の岩場の下山路です。
10分くらいその場でストレッチをしただろうか。ようやく痛みも消えたので行動を再開した。
問題は手持ちの水分が底をついていたことだ。2リットルの凍った水筒にはまだ半分くらい氷があるのだが、融けるには時間がかかる。
痛みが再発しないようにゆっくりと下山を続けた。
やがて「万計沼」に到着した。
沼の傍に立つ「万計山荘」を伺い「水はないだろうか」と問うた。ボランティアの当番の方が「水はあるけど、大腸菌の心配があるので煮沸しなければ飲めません」という。
が~ん。そう言われるとあきらめざるを得ない。立ち去ろうとしたとき、その当番の方が自分の水筒の水を私の分けてくれたのだ。“地獄に仏”とはちとオーバーな表現か?氷の入った水筒に水を分けてもらい、一息ついた。
すると山荘の前で様子を見ていた登山者の一人が「脱水症状には塩分も必要だよ」と干した梅干を提供してくれた。
いや~、私は二人の山人(という表現が適切なのだろうか?)に助けられた。万計沼で、水分、塩分を補給したことにより、足元はよれながらもなんとか無事に下山することができた。
体調の不良が脱水症状を引き起こしたのかもしれない。おおいに反省である。そして、二人の山人の親切に感謝、感謝の空沼岳登山だった…。
下山時にもう一つエピソードがあった。
空沼岳の登山道沿いはこの時期ガクアジサイ(ヤマアジサイ)が満開だった。登山口から山頂まで登山者を楽しませる花弁の数は一万を下らないのではないかというほど多かった。
私はその薄い青紫の花を楽しみながら上っていたのだが、そうした中で一輪だけピンク色に染まったガクアジサイが目に入ったのだ。「写真を!」と思ったのだが、「まあ、これからも出会うだろう」とその場を通り過ぎた。
ところがそれから数多くのガクアジサイは目にするのだが、全てが青紫のものばかり、一輪とてピンク色のものを目にすることはできなかった。そうなると心残りである。「下山時に探してみよう!」と思った。

※ このように今の空沼岳では登山路のいたるところで薄い青紫のガクアジサイの花に出合うことができます。
下山時、脱水症状に苦しみながら、よれる足元を気にしながらも、目だけは必死にピンクのガクアジサイを追っていた。
しかし、いくら目を凝らして探してもピンクのガクアジサイには出会わなかった。私はかなり山の上方のほうで見たように記憶していた。
万計沼も過ぎ、「どうやら見逃してしまったようだな…」とあきらめかけたとき、なんと道端にピンクのガクアジサイが一輪咲いているではないか!
全山でたった一輪のピンク色のガクアジサイをようやく見つけることができた!
私が写真を撮っていると、後から追いついてきた若者が「ワーッ、ピンクの花だ!」と言いながらカメラを向けていた。
園芸種のアジサイにはさまざまな色のものがあるが、自然種においてはおそらく突然変異したものではないだろうか?その一輪を再度目にすることができたことは幸運だった。

※ 普通のガクアジサイと対比させるために二つの写真を同時に提示してみました。

※ たった一輪だけ目にすることができた幻(?)のピンク色のガクアジサイです。
脱水症状に、ピンクのガクアジサイ…、いろいろあった空沼岳登山でした。

そのアクシデントは下山時に起こった。
山頂で十分休みを取り(50分)、しかも登山と違い下山だから「まあ、なんとかなるだろう」と考えていた。
下山を始めて「真簾沼」で一休みしようとしたときだった。「ビリッ!」という痛みが大腿部の裏に走った。
経験をしたことのない痛みである。しかし、その時はしばらそこで休んだので事なきを得た。
「真簾沼」から「万計沼」に向かって急な斜面を下っていたときだった。疲れから注意力が散漫になっていたのだろうか、足を滑らせ転倒してしまった。
転倒ではパンツを泥だらけにしたのと、肘にかすり傷を負った程度で済んだのだが…。慌てて起き上がろうとしたとき、また大腿部の裏に「ビリッ!」ときた。
私の転倒の様子を見ていた後ろから来た若者が「大腿部の裏側を伸ばすと良いですよ」とアドバイスをくれた。アドバイスどおり、その場で裏側を伸ばすことに専念した。
若者(カップル)がその場を立ち去ろうとしない。恐縮した私は「どうぞ行ってください。私はもう少しこの場で伸ばしてから行きますから」と言うと、若者は「脱水症状かもしれません。水分を摂るといいですよ」と言い残し立ち去った。

※ 私が足を滑らせ、転倒してしまった付近の岩場の下山路です。
10分くらいその場でストレッチをしただろうか。ようやく痛みも消えたので行動を再開した。
問題は手持ちの水分が底をついていたことだ。2リットルの凍った水筒にはまだ半分くらい氷があるのだが、融けるには時間がかかる。
痛みが再発しないようにゆっくりと下山を続けた。
やがて「万計沼」に到着した。
沼の傍に立つ「万計山荘」を伺い「水はないだろうか」と問うた。ボランティアの当番の方が「水はあるけど、大腸菌の心配があるので煮沸しなければ飲めません」という。
が~ん。そう言われるとあきらめざるを得ない。立ち去ろうとしたとき、その当番の方が自分の水筒の水を私の分けてくれたのだ。“地獄に仏”とはちとオーバーな表現か?氷の入った水筒に水を分けてもらい、一息ついた。
すると山荘の前で様子を見ていた登山者の一人が「脱水症状には塩分も必要だよ」と干した梅干を提供してくれた。
いや~、私は二人の山人(という表現が適切なのだろうか?)に助けられた。万計沼で、水分、塩分を補給したことにより、足元はよれながらもなんとか無事に下山することができた。
体調の不良が脱水症状を引き起こしたのかもしれない。おおいに反省である。そして、二人の山人の親切に感謝、感謝の空沼岳登山だった…。
下山時にもう一つエピソードがあった。
空沼岳の登山道沿いはこの時期ガクアジサイ(ヤマアジサイ)が満開だった。登山口から山頂まで登山者を楽しませる花弁の数は一万を下らないのではないかというほど多かった。
私はその薄い青紫の花を楽しみながら上っていたのだが、そうした中で一輪だけピンク色に染まったガクアジサイが目に入ったのだ。「写真を!」と思ったのだが、「まあ、これからも出会うだろう」とその場を通り過ぎた。
ところがそれから数多くのガクアジサイは目にするのだが、全てが青紫のものばかり、一輪とてピンク色のものを目にすることはできなかった。そうなると心残りである。「下山時に探してみよう!」と思った。

※ このように今の空沼岳では登山路のいたるところで薄い青紫のガクアジサイの花に出合うことができます。
下山時、脱水症状に苦しみながら、よれる足元を気にしながらも、目だけは必死にピンクのガクアジサイを追っていた。
しかし、いくら目を凝らして探してもピンクのガクアジサイには出会わなかった。私はかなり山の上方のほうで見たように記憶していた。
万計沼も過ぎ、「どうやら見逃してしまったようだな…」とあきらめかけたとき、なんと道端にピンクのガクアジサイが一輪咲いているではないか!
全山でたった一輪のピンク色のガクアジサイをようやく見つけることができた!
私が写真を撮っていると、後から追いついてきた若者が「ワーッ、ピンクの花だ!」と言いながらカメラを向けていた。
園芸種のアジサイにはさまざまな色のものがあるが、自然種においてはおそらく突然変異したものではないだろうか?その一輪を再度目にすることができたことは幸運だった。

※ 普通のガクアジサイと対比させるために二つの写真を同時に提示してみました。

※ たった一輪だけ目にすることができた幻(?)のピンク色のガクアジサイです。
脱水症状に、ピンクのガクアジサイ…、いろいろあった空沼岳登山でした。